Jewelry box

□世界で一番お姫様!
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「あ、王様オレだ。じゃあ2番が下着以外脱ぐで。」
「あ、2番私だ。」

え、マジで?

「じゃあ、」
「ちょっとストップ!」

事の発端は3時間前。
休みの日にもかかわらず課題を片付ける為にオレの家に集まった山本、獄寺くん、京子ちゃんに黒川の五人。
1時間半程して課題が終わり用事があるからと京子ちゃんも退場。
しかしまだ午後2時。
トランプでもやるか、あれトランプない。
じゃあゲームをやろう、あ、故障中。
そんなやり取りをしていたオレらの目の前に映ったのは明らかに最強の家庭教師様が面白がって置いていったであろう王冠のマークと数字の書かれた割り箸数本。
ノリのいい山本がやろうぜ!と誘ってくるものだからじゃあやろう、と。
4人しかいないから誰が当たるかは殆ど予想、

できなかった。

運がいいのか黒川は王様は当たっても罰ゲーム(?)に当たることは一切なかった。
強運なんだな、と思いつつ進めそして今に至る。

「黒川女子だしやめとこうか。山本も獄寺くんもいいよね?」
「おう!」
「別にいいぜ。」
「よし。じゃあ黒川は、えーと、あ、冷蔵庫からジュース取ってきて。階段降りて台所ね。」
「りょーかい。」

部屋を出た黒川、トントントン、と階段を降りる足音が聞こえる。

「「「はー…」」」

三人同時の溜め息。
まあそりゃそうか。

「10代目ー…」
「うん分かってる、迂闊だったよ…。」
「黒川はやるって言ったらやるヤツだぜ…。」
「うん、知ってる。でもさ、」

期待してたんじゃないの?オレがそう言うと山本と獄寺くんの顔が真っ赤になる。
まったく、分かりやすいな…。

「狙ってるの知ってるんだからね。」
「…ツナだって、」
「え、10代目もっスか!?」
「オレ結構分かりやすいと思うんだけど…。何、黒川ってそんな鈍いっけ?」
「どーだろ。あ、ツナにも獄寺にも譲る気はないからな!」
「勿論。」
「ったりめーだろ。」

三人顔を見合って、

「負けねーかんな。」
「お前なんかに負けっかよ。」
「じゃあ、正々堂々って事で。」
「おう。」
「はい。」

ちょうどそこでカチャリと開いた扉。
黒川がジュースを人数分持って立っている。

「何よ、仲良さそうに。私はお邪魔?」
「そんな事ないって!」
「あはは、分かってるわよ。」

そんな必死にならなくても、と黒川がオレの額をつついた。

「いってー…、」
「ゴメンゴメン。」

こんな風に接してくる黒川はきっと気付いてはいない。
獄寺くんや、山本や、オレの気持ちに。

「じゃあ再開しよっか。」

鈍くて愛しいオレらのお姫様。




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