■死別
□大事な人の側で
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時の流れにより
長年同じ家で暮らした彼女
喜怒哀楽を共有し
微笑みが素晴らしく
母の様に叱り付け
自らの思い出に涙し
時を共有することを生きがいに
・・・・
時の流れにより
記憶の一部が欠落した彼女
もう出来なくなって
何も覚えてなくて
それでも
時を共有することを生きがいに
・・・・
時の流れにより
自由を失くした彼女
ただ側に居て
話しかけ
触れて
それでも
時を共有することを生きがいに
・・・・
時の流れにより
この世を去り逝く彼女
ずっと側に居て
触れて
触れて
共に過ごした時の記憶を思い出に
■解説
彼女とは、私の祖母で、小さい頃から同じ家で過ごしていた。
私が大学生の頃に、祖母が脳梗塞で倒れ、その後は痴呆により記憶をが失いつつあった。
その後、何度も入退院を繰り返し、寝たきりの日々だった。
その頃には、会話もできなく、ただわずかに微笑んでくれていた。
亡くなる間際まで側に居て、言葉も表情も無く、ただ、「おばあちゃん・・・」と、話しかけると、涙を流してくれた。
幼い頃は、祖母にイタズラや暴言を吐いたりしていたが、その都度叱られたり、時には冗談で。
居なくなって分かるその人の大切さというものを学んだ。