*太陽の扉*
□川の流れのように
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「セセラギさん、なんてどうです?」
「セセラギ?」
「はい。ここの公園、そんな名前でしたよね? せせらぎ小道」
せせらぎ小道に住んでるセセラギさん、と言った。
「俺はそんなに綺麗なものではない」
「えー?でもいいじゃないですか」
優しそうで似合いますよとねだってみる。
「別に、なんとでも呼べ」
「はい!」
納得したのか、諦めてくれたのか、セセラギさんはそう言った。
「あの、いつもここにいますか?」
「ああ。当分」
「また、遊びに来てもいいですか?」
「……ああ」
少しの間のあと、セセラギさんは頷いてくれた。
せせらぎ小道に住んでいるセセラギさん。
顔も歳も分からないセセラギさん。
私はその日一日、気分がとても良かった。
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