SS

□体罰
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「ぶっ!!」



突如降って来た痛みに政宗は目を覚ました。



「いい加減教室戻れ。ここはお前の仮眠室じゃねぇ」


「小十ろ…ぶっ!!」


「先生と呼べ」


分厚い本でまたしても顔面を叩かれた痛みに、政宗は真っ白な布団へ顔を埋めた。


「保健医だろ?先生じゃねぇじゃん」


「もう一発…」


「誰が喰らうかっ!」


咄嗟に両手で顔面を保護したが、今度は頭を叩かれた。


「ってぇ〜な。体罰だ、体罰!PTAに訴えんぞ!」


「ほぅ」

 
喰ってかかりそうな勢いの政宗を見つめ、小十郎は不敵な笑みを浮かべた。


「体罰…か」


「…体罰、だろ。こんなの…」



尻窄みになる言葉。

小十郎の視線からただならぬものを感じ取り、政宗は思わず下を向いた。





ぎし…





ベッドが軋み、顔を上げればすぐ目の前には小十郎の姿が。



「な…」


「痛い体罰が駄目なら『気持ちいい』体罰にしてやろうか?」


「き…もち…い…?」


「その減らず口も利けなくなるような」


「なにそれ」


「癖になるなよ」


「え、ちょ…」







キーンコーンカーンコーン






「おっと残念。時間だ」


「え…」


そそくさと立ち上がり、去ろうとする小十郎。

政宗はぽかんと口を開けたままその背中を見つめていた。



「あ、変な事期待してたんじゃねぇだろうな」


「しっ、しししてねぇよ!誰がっ!」


「顔に書いてある」


「えっ?」


慌てて窓ガラスに映して確認するが、そこにあったのは赤くなった自分の顔。


「嘘つき変態教師っ!」


向き直って吠えたが、既に小十郎の姿は無かった。


「あんの野郎ぉ…」

 
心底悔しそうに歯ぎしりをした政宗は、再びベッドへ潜り込んだのだった。





End.

 

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