零落の季節
□3.YUTA
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智の印象はゆうたが聞いていた人物像とは全然違った。
ひなたから聞いたのは、冷たい、兎に角冷たいということ。
後から聞いた噂は、ひなたと鉄虎を一睨みで泣かしたということ。
彼女が通った後は机と椅子が散乱してたとか……。
実際、ひなたはゆうたに泣きついた。
鉄虎は3年生を中心に「女子に泣かされた」と噂が流れた。
それだけで信憑性は充分だった。
智が再び登校してくるまで、どれだけ怖い女子なんだと恐れた。
でも実際に会ってみると智は明るく、好奇心旺盛な女の子だった。
ジャグリングを見せると、小さい子どものように目を輝かせた。
智が喜ぶ顔が嬉しくて、次々と芸を披露した。
それはあんずから連絡が来るまで続いた。
「あ、時間」
時計を見ると大分時間が過ぎていた。
「ああ!!」
「ヤバい!!」
ダンスレッスン室。
あんずはすっかりご立腹だった。
「…待ってたよ」
あんずは笑顔で行った。
「ごめんなさい!」
「すみません!」
あんずはニコニコしている。
「今日のメニューは変更だね」