にわか雨

□7.恋愛
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水季はずぶ濡れになりながら帰宅した。

そのまま熱を出し、寝込んだ。
その間、雨は降り続いた。

熱が引いて、起き上がれるようになると、祖母が水季の髪に気づいた。

『……水季』

水季は思い出したように短くなった部分に触れた。

『周りも揃えなきゃね』

祖母は静かに言った。
雨は止んでいた。

馴染みの美容室に閉店後に行った。
店長には前以て連絡を入れていた。美容師の専門学校を卒業し、家業を継いだ若い女性。

店長は水季の髪を見て、一瞬顔を歪めた。
しかし、直ぐに接客笑顔になり、水季を座らせた。

『今日はどうしますか?』
『短い所に合わせて下さい』

それだけ言って、水季は普段読まない雑誌を手にとり、開いた。
いつもは店長と話したりするが、今は何も言いたくなかった。
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