にわか雨
□6.環境
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約束の後、暫く水季と会うことはなかった。
久しぶりに会った時、水季は中学校の制服を来ていた。
それだけなのに、ずっと大人びて見えた。
『翠!』
水季は翠に気づくと笑顔で駆け寄った。
『久しぶりだな』
『うん、久しぶり』
ニッコリと笑う水季。
でも、どこかぎこちなかった。
数日後、1日晴天の予報が外れ、午後から大雨が降った。
それから暫く降ったり止んだりの天気で、漸く落ち着いた頃に水季に会った。
その時、翠は驚いた。
いつも肩より長くしていた水季の髪が、肩より短くなっていた。
『髪、切ったの?』
『ああ』
水季は笑顔だったが、少し、悲しげだった。
『失恋したの?』
翠がそう言うと、水季はキョトンとしたが、やがてクスクス笑った。
『そうではない』
いつもの、大好きな笑顔だった。
だから、気づかなかった。