にわか雨
□5.教室
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音楽室。
水季は中に入ると誰もいないことを確認した。
今朝、雨を降らした時に使用した扇子を開く。
窓に向かって大きく扇いだ。
それを何度か続ける。
バキッ!
「!」
扇子が折れた。
「…はぁ」
窓の外を見る。
雨はいくらか弱まっていた。
「放課後には止むだろうか」
扇子をしまい、水季は音楽室を出た。
暫くして、雨は止んだ。
アイドル科。
1-A教室。
午後の授業中、翠はちらりと窓の外を見た。
雨は止んでいたが、まだ雨雲があった。
(放課後、また降るのかな?)
そうならなければ良いと、翠は思った。
放課後。
2-A教室。
「今にも降りそうだな」
北斗が言った。
あんずも窓の外を見る。
「これから買い物に行くって言ってたけど、大丈夫かしら?……あの2人」
「あんず〜」
扉のところに桃李がいた。
「どうしたの?」
あんずが桃李のところに行く。
「最近、智がかまってくれない!」
「あらあら」
桃李は智が紅郎と付き合うことになっても、めげずにアタック中。
「今日も誘ったのに用事があるって、絶対、鬼龍先輩のところだよ〜」
あんずに愚痴る桃李。
北斗は2人を暫く見ていた。
ふと窓に目を戻すと智と紅郎を見つけた。
買い物リストらしきメモを見ながら話す2人。
「別れれば良いのに」
「そういうこと言わないの」
あんずは桃李の頭を撫でて慰める。
北斗は黙っていようと決めた。