にわか雨

□5.教室
3ページ/6ページ


音楽室。

水季は中に入ると誰もいないことを確認した。

今朝、雨を降らした時に使用した扇子を開く。
窓に向かって大きく扇いだ。
それを何度か続ける。

バキッ!

「!」

扇子が折れた。

「…はぁ」

窓の外を見る。
雨はいくらか弱まっていた。

「放課後には止むだろうか」

扇子をしまい、水季は音楽室を出た。

暫くして、雨は止んだ。



アイドル科。
1-A教室。

午後の授業中、翠はちらりと窓の外を見た。
雨は止んでいたが、まだ雨雲があった。

(放課後、また降るのかな?)

そうならなければ良いと、翠は思った。



放課後。
2-A教室。

「今にも降りそうだな」

北斗が言った。
あんずも窓の外を見る。

「これから買い物に行くって言ってたけど、大丈夫かしら?……あの2人」
「あんず〜」

扉のところに桃李がいた。

「どうしたの?」

あんずが桃李のところに行く。

「最近、智がかまってくれない!」
「あらあら」

桃李は智が紅郎と付き合うことになっても、めげずにアタック中。

「今日も誘ったのに用事があるって、絶対、鬼龍先輩のところだよ〜」


あんずに愚痴る桃李。
北斗は2人を暫く見ていた。

ふと窓に目を戻すと智と紅郎を見つけた。
買い物リストらしきメモを見ながら話す2人。

「別れれば良いのに」
「そういうこと言わないの」

あんずは桃李の頭を撫でて慰める。


北斗は黙っていようと決めた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ