にわか雨
□5.教室
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普通科。
2年教室。
「あ、水季、おはよう」
「おはよう」
友達に挨拶を返し、水季は席につく。
「ねえ、放課後空いてる?買い物付き合ってよ」
水季は頷く。
「良いぞ」
「ありがとう!」
友達はニッコリすると携帯を操作しはじめた。
(昼頃に一旦止めるか)
水季は窓の外を見た。
アイドル科。
1-A教室。
「予報では晴れだったのに」
友也が言った。
「でも雨なんて久しぶりだよね」
ひなたも窓から空を見る。
翠は携帯を見た。
『昼には止む』と水季から来ていた。
その意味を翠は理解していた。
それが、翠が水季を嫌いな理由のひとつだった。
昼休み。
あんずは普通科の廊下を歩いていた。
普通科の生徒たちはチラチラとあんずを見るが、本人は気にしない。
否、気づいていない。
「あ、水季ちゃん!」
「おや、あんず。何故此方に?」
「弟に用事があってね」
少し話をして、2人は別れた。