にわか雨

□3.甘味
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お菓子を買い、帰路の途中、水季は夜空を見た。

「最近、雨が降らんのう」

季節的に雨天は少なくない。

(今年は雨が少ない、まとまった降りは梅雨ぐらいか)

予報では暫く晴天。
日中は気温も上がる。

(……明日以降、考えるとしよう)

水季が家に帰ると仕事から帰ってきた両親に怒られた。
客に出すお菓子を買いに行った(半分事実)と言ったら
『連絡くれたら買ってきた』
とさらに怒られた。


2日後。
夢ノ咲学院、生徒会室。

「どういうことだ、天祥院殿」
「ごめんね、水季」

水季が英智に詰め寄っていた。
一方、英智はニコニコと笑顔だった。

「っわ!水季、何してるの!?」

生徒会室に入ってきた桃李が水季を止める。

「おぅ!」

引っ張られて水季は驚くが、桃李の方を向いて抱き締めた。

「桃李〜、天祥院殿が酷いのだ〜」
「水季の方が酷いことしてたように見えたけど」
「…むぅ、桃李まで冷たいのう」

水季は桃李から離れた。

「桃李、あんずとは仲良くしているか?」
「うん!」
「智とは?」
「……うん」

水季の問いかけに桃李は目をそらしながら応えた。
微かに頬が赤い。

(ほほう)

水季は察した。
にっこりと桃李に微笑みかける。

「桃李、頼みがある」
「?」
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