にわか雨

□PROLOGUE
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智と英智が帰ると水季は縁側に座った。
短刀を鞘から抜き、刀身を眺める。

「これで、もう少し太れば良いが」

水季は智の痩せた身体を見た時、一瞬言葉を失った。
あれでも太った方らしい。
それでも健康的とは言えなかった。

(あれでも有名人のこども、か)

水季が脱衣室で刀身を向けた祓った『黒い影』。
それは智にのし掛かるように憑いていた。

恐らく、智の存在を知る各業界の思念。

水季が驚いたのは、それでも智自身が清らかだったこと。
心も瞳も『黒い影』の影響をあまり受けていなかった。

「天祥院殿のおかげか」

『箱庭』に閉じ込めた。

英智はそのことを後悔していた。

だが、結果としてそれが『黒い影』の影響を最小限にしていたかもしれない。

「智は学院ではどう過ごしておるのかのう」

水季は携帯を出し、ある人物にメッセージを送った。

『明日の放課後、そちらの科に行く。出迎え宜しく♪』

即返信が来た。

『嫌です。来ないでください』

「っぐ」

別の人物に送る。

『お待ちしております』

「よしよし。やはりあんずは良い奴だ」

水季はにんまりした。



To be continued.


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