零落の季節
□3.YUTA
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日が暮れたのであんずと智は先に帰らせた。
「あのさ、アニキ」
「何?」
「あんずさん、何かおかしくない?」
「やっぱり、ゆうたくんも気づいた」
2人は向かい合って、話していた。
「なんかピリピリしてたし」
「ずっと考え事してるし」
うーん、と2人は首を傾げる。
合わせ鏡のように同じ動き。
「ゆうたくん」
小さい声で呼ばれた。
ゆうたが扉の方を向くと、忍が中を覗いていた。
「忍くん、どうしたの?」
「あんず殿と智殿はござらんか?」
「2人供、もう帰ったよ」
そう言うと忍は安心したように息をついて部屋に入ってきた。
「?」
忍は少し躊躇う仕草をしたが、やがて口を開いた。
「実は先週、智殿を見たでござるよ。……でも、今日とはまるで別人でござった」
「どうゆうこと?」
ゆうたが聞く。
「ん〜……、まるでゆうたくんと、ひなたくんが別行動してるみたいな」
忍の言葉を聞いて、ゆうたは目を丸くした。
「アニキみたいに人様に迷惑かけてたの?」
「……ゆうたくん」