零落の季節

□3.YUTA
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「今日はこのくらいにしようか」

あんずがそう言うと、葵兄弟はその場に崩れ落ちた。

「は、はい」
「…つ……疲れた」

あんずが急きょ変更したスペシャルメニュー、別名「地獄の特訓」をこなした葵兄弟。
その2人に智は水を持っていく。

「ごめんね、2人供」
「智のせいじゃないよ」
「そうそう」

呼吸を整えて水を飲む。

「はぁ〜、しみるぅ」

ひなたが言った。

(今日のあんずさん、機嫌悪いなぁ)

ゆうたがあんずを見る。あんずは何か考え事をしていた。

「………部活かぁ」

あんずは部活動のことを考えた。

(自分が帰宅部だから考えてなかったぁ。あの人の部活って確か…)
「智ちゃん、ちょっと良い?」
「何ですか?」

智はあんずに駆け寄る。

「部活動に興味あるの?」
「どんな部があるか興味はあります」
(あの人が所属してる部は避けるけど…)

あんずは一覧の名前の横に部活名を書いていく。

「丸が付いてる人が部長さんよ。軽音部部長の朔間零さんには会った?」
「いいえ」

横になっていたひなたが顔を上げた。

「そういえば、今日は見てない」

隣に座っているゆうたも頷く。

「棺桶の蓋が開いてたし、中にはいなかったです」
「そう」

智は目をパチパチさせた。

「……棺桶?なにそれ?」
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