にわか雨

□9.好意
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水季の様子がおかしいと、最初に気づいたのは創だった。

「どうかしましたか?」
「……ん?なんでもない」

そう言って創がいれた紅茶を飲む。

(やっぱり、おかしい)

創は思った。

いつもならお菓子にも手を伸ばす水季。
だが今日は紅茶一杯で帰ってしまった。

「創も気づいた?」
「桃李くんも?」
「うん」
「あら、どうしたの?」
「あんず。水季がね、なんかおかしいの」

…………

「ふーん、そうなの」

あんずの反応に2人はぽかんとした。

「それだけ!?」
「心配じゃないんですか!?」
「全然」

あんずはニッコリしながら言った。

「2人とも、次に水季ちゃんに会ったらね………」

…………

「あ!来ました!」
「よし!行くよ、創!」

創と桃李は水季に駆け寄る。

「水季!」
「水季さん!」

「桃李。創」

水季は2人に気づくと笑顔を向けた。

「水季さん、この間翠くんが…」
「あのね!翠がね…」

同時に喋り出す創と桃李。

水季は2人が可愛くて、クスクス笑った。

「どうした2人とも」

2人の頭をくしゃくしゃと撫でる。

「桃李はいつもだが、今日は創もお喋りだな」
「え、えっと」
「まあ良い。で、翠がどうした?」

『水季ちゃんに翠くんの話をいっぱいしてあげて』

あんずは創と桃李にそう言った。
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