にわか雨
□2.出会い
1ページ/5ページ
あんずが水季と初めて会ったのは6月、梅雨入り前だった。
テレビではまだ宣言はされてなかったが、降ったりやんだりと予報外れの天気が続き始めていた。
「また降ってきた」
ぱらつく雨をあんずは教室の窓から見ていた。
「あれ?」
ふと向けた校門に女性を見つけた。
傘を持っている気配はない。
「あの人、濡れちゃう」
あんずは自分の折り畳み傘を持って教室を出た。
校門の内側から女性をのぞき見して気づいた。
(普通科の人だ)
普通科の生徒、水季はあんずに気づかない。
俯いて、校門に寄りかかっていた。
(綺麗な人だなぁ)
雨に濡れた銀髪、同色の長い睫毛。
白い肌。
スラリと背が高く、制服の上からでも凹凸がはっきりわかる身体。
同性のあんずも思わず見とれてしまった。
水季は瞬きをすると、漸くあんずに気づいた。
「何か用か?」