献上小説置き場

□約束
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ある晴れた日の朝。
 
どよーん…という効果音が聞こえてきそうな程、ツナは沈んでいた。
 
 
「どしたんだ?沢田の奴」
 
「なんかいつにも増して負オーラがねーか?」
 
クラスメイト達がひそひそする中、獄寺と山本だけはその理由を知っていた。
 
 
実は今、ザンザスが長期遠征に行っているのだ。
しかもヴァリアー全員ではなく、ボスであるザンザスだけ。
 
割と面倒くさい仕事らしく、かれこれ3ヶ月が経過していた。
常に一緒にいたい2人にとっては、長すぎる時間。
連絡もつかないらしく、ツナはそのストレスが段々と表に出るようになっていた。
 
 
 
「10代目っ、次の授業……」
 
「ごめん獄寺君、今俺に話しかけないで?」
 
ニッコリ笑顔で、でも絶対零度のオーラを放ちながらツナはそう言い、1人で行ってしまった。
 
「ダメだぞ獄寺ー、今のツナすっげーやばいから」
 
「…10代目……男らしい…っ!!」
 
苦笑いするしかない山本だった。
 
 
 
 
 
「はぁ〜……ただいまぁ…」
 
家に帰り、玄関でまずため息。
ここ最近ため息ばかりである。
 
いつもなら「おかえりツッ君〜」とか言って顔を出す母の姿がない。
リビングへ行くと、テーブルの上にメモが置いてあった。
 
“ツッ君へ
 母さんはリボーン君やみんなを連れてお買い物に行ってきます。
 おいしいお菓子買ってくるから、おやつはそれからね。
 あ、宿題ちゃんとやっておくのよ
 母さんより”
 
 
「…………」
 
ちょうどいいかもしれない。
ここでランボ達がうるさくしていたら八つ当たりしてしまっていたかもしれないからだ。
 
 
のろのろと部屋へ行く。
宿題をするために。
…リボーンのお仕置きだけは避けたい。
 
 
 
ドアを開けて、ツナは思わず鞄を落とした。
 
 
「……………」
 
 
「よぉ」
 
 
ベッドに座っていたのは、ずっとずっと会いたかった3ヶ月ぶりの恋人。
 
「ザンザス……」
 
「久しぶりだな」
 
「っっザンザス!!」
 
ツナは思わず駆け出してザンザスに飛びつく。
久々の感触に少し涙が出た。
 
「泣く程か?」
 
「っ馬鹿!連絡くらいよこせ!」
 
馬鹿馬鹿言いながらぎゅぅ〜っと抱きつくツナ。
 
寂しかったし、心配だった。
 
 
 
落ち着いて話を聞くと、どうやら連絡を取らなかったのではなく取れなかったらしい。
携帯が壊れてしまい、だが公共の機械を使うのは危険だ。
 
「だからって3ヶ月も…」
 
「悪かった」
 
「…………」
 
ツナはしばらくジッとザンザスの顔を見て、不思議そうな顔をしているその顔に自分の顔を近づけた。
そして……
 
――チュッ
 
本当に軽い、触れるだけのキスを送る。
 
「………」
 
されたザンザスは、しばし呆然としていた。
普段、ツナからキスをする事はまずない。
かなり貴重なのだ。
 
「お…おかえり、ザンザス……」
 
真っ赤にしてそう言う恋人を、果たして放っておけるだろうか。
 
「綱吉……あぁ、ただいま」
 
今度はザンザスからキスをし、当然それを深いものにしていく。
 
「ンふっ……」
 
久々のキスに、ツナは身体をブルッと奮わせた。
 
 
 
 
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