献上小説置き場
□突然の訪問者
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次の日。
ザンザスとベルとルッスーリアは、まだ薄暗い早朝に帰って来た。
そしてそのまま部屋へ入り、眠りにつく。
弱いが手間だけはかかった為、それなりに疲れたのだ。
同じ建物内に恋人がいるとも知らずに、彼らは休息に入った。
ツナ達は起きると、朝食を食べ、ザンザス達が帰って来て寝ている事を知った。
これはもう、彼らの貴重すぎる寝顔を拝むしかないだろう。
スクアーロからそれぞれの部屋の場所を聞き、いざ恋人の元へ向かうのだった。
―――ガチャ
そ〜っと開けたつもりでも、やけに音が大きく響く。
鍵はスクアーロから合鍵を借りていた。
ツナはそろそろとベッドの方へ近づく。
ザンザスの寝顔なんてそうそう見れるものじゃない。
ドキドキする鼓動を抑え、一歩一歩進む。
黒い頭が見えた。
もう少しだ。
そしてザンザスの顔を覗こうとした時、腕を引っ張られて布団の中へ引き寄せられた。
「なっ…?!」
見上げれば、ザンザスが満足気に笑っていた。
「ザンザスっ、起きて…?!」
「カスが。この俺が人の気配に気づかねー訳ねーだろ」
そもそも気配を消す訓練など受けていないツナが暗殺部隊ボスに気づかれずに近づくなんて芸当、出来る訳がなかったのだ。
ツナはガッカリとし、それでも嬉しそうにザンザスに抱きついた。
「おはよう、ザンザス」
「あぁ。……ところで、何でここにいるんだ?これでも驚いたぞ」
「うん、ちょっとね……」
いたずらっぽく笑い、ツナはさらに布団にもぐり込む。
実はこうして会えたのは1ヶ月ぶり。
これでも結構寂しかったのだ。
だが、ふと何か腰辺りに硬いモノが当たっている事に気づく。
もしかして……
「ザンザス…」
「気づいたか」
「気づいたか、じゃないよ!!何朝っぱらから……あ、もしかして朝勃ち?」
それならしょうがないかと苦笑するツナに、ザンザスは「違う」と言う。
「テメェがさっきから擦り寄ってくるから、こんなんなっちまったんだろ。どんだけ会ってないと思ってんだ」
「っっ……あ、ザンザス、まだ眠いんじゃない?ほ、ほら、任務大変だったみたいだし…」
必死で話をそらそうというツナの企てもむなしく、いつのまにか恋人に覆い被さられていたのだった。