献上小説置き場
□意外な敵
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「……にしても…」
次の日、ツナはソファーに座るザンザスを見る。
「まさか一晩で完璧に治っちゃうなんて……」
「当たり前だ、麻酔薬だけで死炎バズーカの効力は短いからな」
全くいつも通りの恋人。
なんだか嬉しくなる。
「館も死炎バズーカの資料ごと燃やしたし……」
もう大丈夫だろう。
ザンザスは優雅にブラックコーヒーを飲む。
ツナは向かいのソファーで砂糖たっぷりの紅茶を用意していた。
「でもさ、まさかまたザンザスと戦う事になるなんて思わなかったよ」
「チッ……それはもういいだろ」
「怒ってないよ。元はといえば俺が狙われたせいだし。……でも、なんか懐かしかったなぁ」
「………」
「あ、でもさ、何であの時洗脳から解放されたの?」
「……あれはテメェにバズーカが向けられたのを見て前と被った。だからだろ」
「ふーん……」
結局自分は死炎バズーカに当たらずに済んだのだ。
だが、またいつあんなものが再び敵の武器となるかわからない。
ツナはカップを置くと、真剣な表情で言った。
「ザンザス、もし俺が俺じゃなくなったら、今回みたいに今度はザンザスが止めてね。きっと俺を止められるのはザンザスだけだから……」
「それは力で、という意味か?」
「それもあるけど……わかってるでしょ」
「あぁ」
そう
何をされようと
心の奥に届くのは、きっとお互いの声だけ
「改めて、おかえりザンザス」
乗り出して顔を近づけるツナ。
「…ただいま、綱吉」
ザンザスは自分も乗り出し、そのツナの行動に応える。
窓から入る昼の光が、唇を交わす2人を優しく照らしていた。
→後書き