献上小説置き場

□試作品の恐怖
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土曜日。
学校は休みである。
そんな日に、獄寺と山本はツナの部屋に呼び出されたのだった。
 
だが部屋にはツナの姿はなく、リボーンがハンモックの上で優雅にコーヒーを飲んでいるだけである。
 
 
「遅かったな」
 
「リボーンさん…10代目はどこですか?」
 
「ツナならいねーぞ。休みをやった」
 
「って事は、呼び出したのは小僧かぁ」
 
山本も何故かくつろいでいる。
 
リボーンはカップを置くと、ハンモックから降りた。
そしていそいそと何やら怪しい物を取り出す。
 
「何スか?それ」
 
獄寺が不思議そうに覗く。
どうやらバズーカのようだ。
だがかなり特殊な形をしている。
 
その時、リボーンが突然引き金を引いた。
もちろん、獄寺は直撃。
そして何故か真後ろにいた山本も直撃をくらっていた。
 
 
だが2人共すぐに起き上がる。
 
「いてて……」
 
「ビックリしたのなー」
 
 
「「……………ん?」」
 
 
そこで2人は違和感に気づく。
なんだか、自分の声が外部から聞こえてきた気が………
 
「……って…」
 
「何だこりゃあ――っ!!!!」
 
獄寺は自分の身体を見下ろす。
今日はこんな物を着てきていない。
山本も同様だった。
 
「ど、どういう事だよこれは??!!」
 
そう怒鳴るのは、普段はニコニコ笑っている山本。
 
「なんか…すっげー驚いたのなー」
 
目を丸くしながらもこの状況を楽しんでいる獄寺。
 
……いや、外見は、である。
実際、騒いでいる山本の中には獄寺が、笑っている獄寺の中には山本がいた。
つまり、中身だけが入れ替わってしまったのだ。
 
 
「成功だな、入れ替わり弾」
 
「「い…入れ替わり弾〜〜っ??!!」」
 
憐れな実験体2体は、同時にそう叫んだのだった。
 
 
 
 
 
とりあえず落ち着いてリボーンの話を聞いた2人。
 
“入れ替わり弾”とはボンゴレの科学研究部が開発した試作品で、そのバズーカを放った際に前後から出てくる弾に当たるとその2人の中身が入れ替わってしまうらしい。
これを使えば敵マフィアを1人捕まえてそいつに成りすませば簡単に潜入捜査が出来る。
 
だが1つ難点があった。
相手も自分の身体を自由に動かせるのだ。
いくら捕まえていても自分の身体で自殺や自傷行為をされては堪らない。
 
 
「という訳で、これは試作段階で終わったんだ」
 
と、リボーンが話し終えた。
 
「じゃあリボーンさん、何でそんなものを俺達に……」
 
「だって面白かったんだもん」
 
わざとらしく可愛らしくそう言うリボーンに、彼を尊敬している獄寺もさすがに少しカチンときた。
だが思う。
もしこれでこのバズーカがもっと改良されれば、ボンゴレの為…我らが10代目沢田綱吉の為に役立つかもしれない。
 
「リボーンさん、効力の時間は?」
 
「大体1日ってトコらしいぞ」
 
「よし、行くぞ山本」
 
「へ?」
 
獄寺の姿をした山本は首を傾げる。
先程まで獄寺のアクセサリーで遊んでいたところだった。
 
「俺達はこの入れ替わり弾をいつでも使いこなせるように、他人に成りすます事に慣れなきゃならねぇ。そうですよね、リボーンさん」
 
「あぁ。おまえにしちゃ鋭いな」
 
山本は慣れない身体で伸びをし、「どこ行くんだ?」と尋ねた。
獄寺はしばらく溜めて、言った。
 
 
 
「ヴァリアー邸だ」
 
 
 
 
 
 
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