献上小説置き場

□恋の始まり
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「………………」
 
控え室に沈黙が続く。
綱吉はそれに耐え切れずに、当初の目的を果たしてさっさと帰る事にした。
 
「あ…あの……お会いするのは初めてですよね…。これから何かと一緒に仕事をする機会もあるかと思いますので、よろしくお願いします…」
 
「あ"ぁ"……悪いなぁ、本当はこっちが行かなきゃなんねー所を…。それと、さっきぶつけたのもすまなかった…」
 
スクアーロが謝ると、綱吉が不思議そうな顔をした。
 
「な"…何だぁ?」
 
「いえ…やっぱり話してみるものですよねっ。ごめんなさい、俺、勝手にイメージ作って怖がって……」
 
「いや、まぁそんなイメージで売ってるからなぁ…」
 
そういえばそうですね、と控え目に笑う綱吉。
そのふわっとした笑みに、メンバーの誰もが一瞬癒された。
なるほど、これがボンゴレのヴォーカル。
 
 
するといきなりザンザスが立ち上がり、綱吉の向かいに座っていたスクアーロを蹴り飛ばした。
綱吉だけが驚く中、そこへドカッと座る。
そして初めて、声を発した。
 
「俺はヴァリアーのヴォーカル、ザンザスだ。呼び捨てでいい、綱吉」
 
「は…はぁ…」
 
何かそれどっちかというとこっちの台詞じゃあ…?と思ったが、先程の蹴りがあまりに強烈だったので怖くて言えなかった。
しかもこのザンザスという男、目つきが悪いだけでなく大柄で何故か顔に傷跡まである。
とてもカタギの人には見えなかった。
 
「あ、あの…よ、よろしくお願いします。きょ、今日の生放送、お互い頑張りましょうね」
 
「あぁ」
 
そう言うとザンザスは立ち上がり、きょとんとして座っている綱吉の元まで行くと屈み、チュッと軽いキスをした。
 
 
「……………はぁぁぁぁ???!!!」
 
ざっと5秒もの間をあけ、綱吉はやっと我に返って叫んだ。
これには他のヴァリアーのメンバーも目を見開いていた。
 
「なっ、なっ……っ」
 
口をパクパクさせて上手く言葉を出せないでいる綱吉を見て口の端を上げ、ザンザスは言い放った。
 
「これからたっぷりよろしくしてもらうぜ、綱吉」
 
綱吉は顔を真っ赤にさせてその場から逃亡。
 
 
もちろん、生放送でメチャクチャに失敗してリボーンにこってりしぼられたのは言うまでもない。
 
 
新たな波乱の幕開けだった。
 
 
 
 
 
 
 
→後書き
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