献上小説置き場
□恋の始まり
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「キャーっ、ツナーっ」
「隼人ーっ」
「武笑ってーっ」
「リボーンカッコイイ〜」
「ランボ頑張ってぇ〜」
黄色い歓声が響く中、素晴らしい演奏にのって中性的な澄んだ歌声が室内を包む。
彼らの名はボンゴレ。
今最も売れているバンドチームだ。
ヴォーカルの沢田綱吉、ギターの山本武、ベースの獄寺隼人、ドラムのリボーン、キーボードのランボの計5人で活動している。
「お疲れ様でした10代目!!今日も素晴らしい歌声でした!!」
自分も疲れているだろうに、まずは尊敬するツナにタオルとペットボトルを渡す獄寺。
「ありがとう獄寺君。……でも、成功してるのもみんなのおかげだよ」
「10代目…っ」
そこへ深く被った帽子を暑そうに外しながらリボーンがツナの頭を小突いた。
「ダメツナが。調子乗ってんじゃねーぞ」
「わっ、わかってるよっ」
それを山本とランボが笑って見守る、それがいつもの光景だった。
するとパンパンと手を叩く音が。
それと共に聞こえる「クフフ」なんていう怪しい笑い声。
これはもう彼しかいない。
「おやおや、またやってますね。今日はこれで終わりですが、また明日から忙しいですよ〜」
笑顔で近づいてくるのは、六道骸。
このボンゴレのマネージャーだ。
リボーンはそういえばと骸を睨んだ。
「おいマネージャー、最近俺達に対抗するバンドが出てきてるみてーじゃねーか」
「おや、情報が早いですね」
「えっ?!何それ?!」
ツナ同様、どうやら他のメンバーも知らないようだ。
骸はみんなを控え室へ連れて行き、手帳を開いて説明を始めた。
「最近出てきたバンドチーム、それは「ヴァリアー」。癒しや可愛さを狙うボンゴレに対し、ロックで激しいクール系で攻めている今注目のチームです」
癒しや可愛さは別に狙ってないけどね?!というツナのツッコミはスルーされた。
「それで、最悪な事にメンバー構成もこちらと全く同じなんですよ」
「何?」
リボーンの眉が動いた。
「まずはヴォーカル、これがザンザスというかなりの強面なんですが、歌唱力は間違いないです。それからギターのベル、ベースのスクアーロ、ドラムのレヴィ、キーボードのマーモン。基本黒を基調に今グングン売れてきています」
確かに、こちらと人数も担当の楽器も同じである。
「そして明日、彼らと初の対面です」
「えっ?!」
明日は確か、生放送の歌番組に出演のはず。
「そう、彼らもその番組に出るのです」
という事は、おそらく顔を合わすだろう。
“かなりの強面”と聞いて、ツナはすでに憂鬱だった。
聞けばほぼ全員目つきが悪いらしい。
出来れば争いなど避けたいツナだったが、果たして仲良く出来るだろうかと不安になるのだった。