献上小説置き場

□好きの意味
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「…………」
 
隼人はあのモドキばかりだ。
あ、モドキってのは、10代目候補の沢田綱吉。
 
わかってる。
隼人がアイツの右腕になりたがっているのも、アイツを尊敬しているのも、アイツに慕っているのも。
 
でもさ、あの態度の変わりようはやっぱりちょっとなくね?
 
 
例えば朝。
 
「10代目っ、お荷物お持ちします!!」
 
「いいよ獄寺君…自分で持てるから」
 
 
そして帰り。
 
「今日もお疲れさまでした、10代目!!明日も迎えに参ります」
 
「あ…うん、ありがと」
 
 
こんな感じだ。
なんかもう世話やきすぎって感じ。
 
なのに、一緒に住んでる俺には冷たい。
 
 
例えば朝。
 
「おら起きろ、いつまでも寝てんな。俺はもう学校行くからな」
 
「ちょっ…隼人、おはようのチューは?!」
 
「ふざけんな」
 
 
そして夜。
 
「隼人〜、一緒に寝よ〜っ」
 
「は?ついに頭沸いたか?」
 
 
と、こんな感じだ。
 
この差って何?
ヒドくね?
 
でも、あのモドキに手を出すわけにもいかない。
だってボスのお気に入りだし。
傷1つ付けようものなら、百倍返しで死に追いやられる。
それだけは嫌だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
夜。
いつものように隼人が作った夕飯を食べ終えた。
 
「ごちそ〜さま〜っ」
 
「はいよ」
 
隼人は俺といる時は笑わない。
いっつも眉間にシワを寄せている。
アイツといる時はニコニコ笑いっぱなしなのに。
 
「ねぇ隼人、隼人ってあの沢田綱吉の事好きなの?」
 
「は?何だ突然。……まぁ、お慕いしている」
 
「…俺よりも?」
 
「当然だろ」
 
こんなにハッキリ言わなくてもよくね?
 
「……俺が隼人の事好きなの知ってる?」
 
「あぁ」
 
…これって余計ヒドイよね。
 
 
「俺さ…隼人の1番になりたいんだけど」
 
「無理だな」
 
うん、わかってる。
 
「せめてさ、隼人に好きになってもらいたいんだけど」
 
「無理だな」
 
即答?!
結構へこむんですけど。
 
「俺は何をおいても10代目最優先だ」
 
「知ってるよ…」
 
あれ?隼人ため息ついてる。
呆れたかな?
 
 
「……テメェが何を思ってるか知らねぇが、俺の10代目に対する気持ちとおまえに対する気持ちは違う」
 
「…うん?」
 
好きと嫌い?
 
「…絶対ぇわかってねぇだろ。……あ〜〜〜もう……つまり、10代目に対する“好き”とおまえに対するそれは違うって言ってんだ!!」
 
「……俺に対するそれって…好きって事…?」
 
「そんなん自分で考えろ!!」
 
そう叫ぶと、隼人はこっちに顔を向けずに行っちゃった。
 
あ…あれ?
なんかモヤモヤしたのがとれた。
 
つまりアレだよね?
アイツに対する“好き”は尊敬とか忠誠とかそんなもので、俺に対する“それ”は………
 
「っっ隼人ぉぉ〜〜っ!!!!」
 
「ちょっ、何だよ?!後ろから抱きつくな!!」
 
「王子超カンド〜!!今日は一緒に寝ちゃうっ」
 
「ふざけんな!!は〜な〜れ〜ろ〜っ」
 
 
 
ねぇ隼人
 
王子、自惚れちゃうよ?
 
 
いつか、どんな意味においても1番になってみせるから
 
覚悟してて
 
 
王子だけの姫
 
 
 
 
 
 
 
→後書き
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