献上小説置き場
□奇蹟の5分間
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―――ボンッ
ツナはその見慣れた煙をただ呆然と見つめていた。
元はといえば、ここまでなったのにそんなに説明はいらない。
ただランボがはしゃいでツナの部屋に入り、たまたまそこにいたザンザスに10年バズーカが降ってきたのだ。
煙が晴れる。
そこにいたのは………予想はしていたがとても想像出来なかった10年前のザンザスだった。
「………ザンザス…だよね……?」
「…誰だテメェは」
少し幼い14歳のザンザス。
ちょうど今の自分と同い年だ。
だが、明らかに自分よりデカイ。
とりあえず簡単に今の状況を説明する。
最初は信じていない様子のザンザスだったが、周囲やカレンダーやここが日本だという事を確認すると、どうやら信じたようだ。
「…で、テメェは誰だ」
「えっと…沢田綱吉です」
「沢田……門外顧問のガキか?…にしては似てねぇが」
「似てないけど、その門外顧問の子供です…」
ツナは恐る恐る10年前のザンザスを見る。
彼はまだ10代目になろうと、それだけを目指して進んでいる男だ。
ここで自分が時期10代目候補ですなんて言おうものなら、この場で瞬殺されるだろう。
ザンザスは珍しそうにツナの部屋を見回す。
そして最もな質問を口にした。
「テメェは何者だ?何で俺と一緒にいた」
「えっと………」
そこへタイミングがいいのか悪いのか、ドアをノックする音が。
すぐに入ってきたのは、お盆に紅茶とお菓子を乗せた奈々だった。
「紅茶とお菓子を持ってきたわ。2人で………あら?ザンザス君、なんだか雰囲気変わったわね〜。…髪型が変わったのかしら?」
のほほんと微笑む最強の天然母、沢田奈々。
ザンザスは石のように固まって、去っていく奈々を見送るのだった。
「「……………」」
しばし沈黙が流れる。
それからザンザスが一言。
「おまえは母親似か」
どんな事を言われるのかとビクビクしていたツナは、すっかり気が抜けてしまった。