献上小説置き場

□奇蹟の5分間
1ページ/4ページ

 
 
―――ボンッ
 
 
ツナはその見慣れた煙をただ呆然と見つめていた。
 
 
 
元はといえば、ここまでなったのにそんなに説明はいらない。
ただランボがはしゃいでツナの部屋に入り、たまたまそこにいたザンザスに10年バズーカが降ってきたのだ。
 
 
 
煙が晴れる。
そこにいたのは………予想はしていたがとても想像出来なかった10年前のザンザスだった。
 
 
 
 
 
「………ザンザス…だよね……?」
 
「…誰だテメェは」
 
少し幼い14歳のザンザス。
ちょうど今の自分と同い年だ。
だが、明らかに自分よりデカイ。
 
とりあえず簡単に今の状況を説明する。
最初は信じていない様子のザンザスだったが、周囲やカレンダーやここが日本だという事を確認すると、どうやら信じたようだ。
 
 
「…で、テメェは誰だ」
 
「えっと…沢田綱吉です」
 
「沢田……門外顧問のガキか?…にしては似てねぇが」
 
「似てないけど、その門外顧問の子供です…」
 
ツナは恐る恐る10年前のザンザスを見る。
彼はまだ10代目になろうと、それだけを目指して進んでいる男だ。
ここで自分が時期10代目候補ですなんて言おうものなら、この場で瞬殺されるだろう。
 
ザンザスは珍しそうにツナの部屋を見回す。
そして最もな質問を口にした。
 
「テメェは何者だ?何で俺と一緒にいた」
 
「えっと………」
 
そこへタイミングがいいのか悪いのか、ドアをノックする音が。
すぐに入ってきたのは、お盆に紅茶とお菓子を乗せた奈々だった。
 
 
「紅茶とお菓子を持ってきたわ。2人で………あら?ザンザス君、なんだか雰囲気変わったわね〜。…髪型が変わったのかしら?」
 
のほほんと微笑む最強の天然母、沢田奈々。
ザンザスは石のように固まって、去っていく奈々を見送るのだった。
 
 
 
「「……………」」
 
しばし沈黙が流れる。
 
それからザンザスが一言。
 
 
「おまえは母親似か」
 
 
どんな事を言われるのかとビクビクしていたツナは、すっかり気が抜けてしまった。
 
 
 
 
 
 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ