献上小説置き場

□たった1人の弟
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「お兄ちゃん、早く早くっ」
 
「あぁ」
 
そんな微笑ましい会話が繰り広げられているのは、沢田家の玄関。
 
 
ツナ、本名沢田綱吉とその兄、ザンザス。
この2人、全く似ていないがれっきとした血の繋がった兄弟だ。
ただ、ツナは母親に似て、ザンザスは少し外国の血が混ざっている父に似たらしい。
といってもそれほど似てはいないのだが。
 
現在ツナは高校1年。ザンザスは3年だ。
もちろん同じ高校に通っているので毎朝一緒に登校する。
 
普通兄弟と一緒に登校なんて嫌がる年頃なのだろうが、この兄弟はそんな事は全くなかった。
むしろこれ以上ないくらい仲がいい。
 
 
 
今日もいつものように一緒に家を出て、一緒に登校していた。
電車通学のため、毎朝混雑の中を通っている。
 
「……相変わらず混んでんな」
 
「ごめんお兄ちゃん、俺がちゃんと早起きしてれば…」
 
「何言ってんだ、要は遅刻しなきゃいいんだ」
 
兄であるザンザスはツナにものすごく甘い。
弟がどんなに遅く起きても、一緒に登校する。
そのおかげで2人で遅刻なんてのも珍しくない。
 
 
ツナは兄の優しい言葉に微笑む。
みんな兄弟は面倒くさいとか言うけれど、自分の兄はすごく優しい。
それにカッコイイのだ。
おまけに頭もいいし喧嘩も強い。
まぁ、喧嘩などしてほしくないのだが。
 
 
 
 
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