献上小説置き場

□障害があっても
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放課後。
 
山本は補習のため残り、ツナと獄寺は先に帰った。
 
 
「……って、補習俺だけかよ…」
 
教室に残ったのは山本1人だった。
 
 
そこへ数学教師が入ってくる。
 
「う"お"お"お"い!!よく残ってたなぁ」
 
「あ、センセー。…また補習俺1人なのなー」
 
「嫌かぁ?」
 
「んや、センセーとの補習楽しいし」
 
それから補習……というわけではなかった。
何故かスクアーロは山本の隣のイスに座り、2人で話し始めたのだ。
もちろん、数学など関係のない話。
山本の野球の試合についてや普段の事、今日は転校生のツナの事などだ。
 
 
「でさ、獄寺の奴、ツナにベッタリなんだぜー」
 
獄寺も転校生なのだが、誰とも話そうとしなかったし友達も作らなかった。
それが今やツナの後をついて回っている。
これにはクラス中が驚きだった。
 
「ありゃあ惚れてんなぁ」
 
「そっかぁ?2人共男だぜ?」
 
「……おかしいと思うか」
 
突然、スクアーロが真剣な顔つきになった。
山本は一瞬固まるが、笑って答えた。
 
「いいや、思わねーな。だってよ、好きって気持ちがあれば性別なんて関係ねぇんじゃねーかな。…俺もそうだし」
 
「何だと?」
 
スクアーロは山本の肩を掴み顔を近づける。
 
「どういう事だぁ?テメェまさか…好きな奴いんのかぁ?」
 
「えっ……っと…」
 
目線を泳がせたのを見れば答えたも同然だ。
彼は嘘をつけない。
 
「誰だぁ、それは」
 
「セ…センセーには関係ねーだろ?」
 
「大ありだぁ」
 
そう言うとスクアーロは、戸惑っている自らの生徒の唇に自分の唇を押し当てた。
 
「んぅ??!!」
 
突然の事に驚くしかない山本。
しかもそのキスは深く熱く、座っていなければその場に膝をついていただろう。
 
しばらくすると、互いの唇がいやらしい糸を引いて離れる。
 
「セっ……?!」
 
「おまえは誰にも渡さねぇ」
 
だが、そう言った彼は内心ではかなり焦っていた。
 
所詮自分達は教師と生徒。
立場も年の差も違いすぎる。
しかも一方的なこの気持ちをこんな形で押し付けてしまうなんて……。
最悪クビも覚悟しなければならないだろう。
 
 
 
「センセー…」
 
「いや、悪かった。忘れろとは言わねぇ。…もう俺はここをやめるから……それで許せとも言わねぇが……本当にすまなかった」
 
本当に、感情を抑えきれなかった自分の責任。
 
 
 
 
 
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