献上小説置き場

□あっという間の下克上
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「あの…ザンザス…さんは、やっぱり執事になるような教育を受けてきたんですか?」
 
「呼び捨てで構いませんよ、綱吉様。そうですね、一通りは習得しているつもりです」
 
顔に似合わず丁寧だし、質問にも優しく答えてくれる。
思ったよりいい人みたいで、綱吉は安心しきっていた。
 
だが、次の一言がまずかった。
その何気ない質問が、これからの生活を一変させるきっかけにもなる言葉だとは、綱吉は想像もしていなかった。
 
 
「例えば、何を学んできたんですか?」
 
 
「………………」
 
 
え、俺何か変な事聞いた?
綱吉は焦る。
ザンザスが突然静かになったからだ。
 
 
「あの……」
 
「知りたいですか?」
 
「え?はぁ、まぁ…」
 
そう言った途端、座っていたベッドに押し倒された。
見上げると、まるで別人のザンザスの顔があった。
 
「ザン…ザス、さん?」
 
「呼び捨てでいいっつってんだろ、綱吉」
 
「っ??!!」
 
いつもより低い声。
黒い笑み。
そして乱暴な言葉遣い。
 
「独学で学んだモンを体感させてやるよ」
 
そう言うと、彼の顔が近くなる。
ヤバイ、そう思った時にはもうキスされていた。
 
「むぅぅ〜〜っ??!!」
 
しかもディープ。
もちろん、これがファーストキスだ。
 
 
「…ぷはっ……ちょっ、何を……」
 
「知りたいんだろ?俺が何を学んできたか」
 
「そっ、それは執事としての事で……」
 
「執事は主人の世話をするんだろ」
 
「だから…?」
 
これは世話をしているとは思えない。
 
「夜の世話もしてやるよ」
 
「夜の…世話……?」
 
って何。
 
実は綱吉、そっちの事に関しては破滅的に疎い。
何しろ両親には可愛がられて育ち、友達も彼が沢田財閥の跡取りと知れば迂闊な事は言えない。
今まで、そのような話には縁がなかったのだ。
 
本気でわからないらしい綱吉に、少し驚きながらも考えれば不思議はないと思い直しさらに不敵に笑うザンザス。
それはそれで好都合だ。
 
 
そしてもう一度キスをする。
先程よりもさらに深く、長く。
 
「ん〜〜〜〜っ!!!!」
 
綱吉は胸をドンドン叩き抵抗する。
それで気づいたのは、彼が意外に筋肉質だという事。
きっと着痩せするタイプなのだ。
背が高くスタイルがいいくせに、しっかり筋肉もある。
もちろん、その抵抗は意味をなさなかった。
 
 
「たっぷり可愛がってやるよ、ご主人様」
 
やっと開放されたかと思ったら、一言そう言われた。
 
「……………」
 
綱吉は、ただただ呆然とするしかなかった。
 
 
 
 
 
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