献上小説置き場

□あっという間の下克上
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沢田綱吉。
沢田財閥の跡取りであり、つまりはお坊ちゃまであるが、当の本人はそんな自覚はあまりなく、中身はただただ平凡に過ごしたいと願う普通の男子中学生だった。
 
そんな金持ちの家に使用人などはつきもの。
特に唯一の跡取りである綱吉には、専門の執事がついていた。
その執事の名はザンザス。
 
 
2人は2年前に出会った。
 
 
 
中学生になるという事で、そろそろ頼れる専門の執事をつけてはどうかと父親の家光が言い出した。
それには奈々も賛成し、綱吉もしぶしぶ従うしかなかった。
別にいらないと思ったし、そもそも誰かにあれやこれやをさせるのは申し訳ない気がしていた。
 
 
そして連れてこられたのは、沢田財閥に代々仕えるボンゴレという組織のボスである9代目の息子、ザンザスだった。
 
 
初めて会った時、綱吉が思った事はただ1つ。
 
………逃げ出したい!!
 
そう思うのも無理はない。
ていうか誰でもきっと同じ様に思うだろう。
だって、これから自分の執事になると言われ紹介された人物は、全身真っ黒で鋭い目つき、その顔には普通の人間ではありえない傷跡まである。
おまけに見上げる程デカイ。
 
だが、いくらなんでも初対面で怖いからといって逃げ出す訳にもいかなかった。
もしかしたら中身は意外と優しかったりするかもしれないし。
 
そして挨拶を済ませると、ザンザスは早速住み込みで働くようになった。
 
歳は自分よりは上だろう。
きっと10歳差くらいはある。
もしかしたらもっとかもしれない。
 
だが、彼の仕事ぶりは確かなものだった。
時間には正確だし、言葉遣いも丁寧、出される紅茶や飲み物はどれも美味しかった。
 
 
 
 
 
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