献上小説置き場

□どこの僕でも
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「……で、結局君たちは別世界から来たって訳?」
 
とりあえず喫茶店に入り、落ち着いて話し合う事にしてみた。
 
 
「そうなるね。僕らがいた世界とこっちとでは少し事情が違うみたいだしね」
 
そう言う雲雀と隣に座るディーノによれば、今朝2人で出かけようと道を歩いていたら突然リボーンに会ったらしい。
そして妙なバズーカをぶっ放され、気づいたらリボーンは消え、どうやらこちらの世界に来てしまったという事だった。
 
 
「……信じられないようですが…目の前の雲雀さんを見ちゃったら納得せざるを得ないですね」
 
イーピンが不思議そうに向かいの雲雀を見る。
その雲雀は彼女を一瞥し、「何」と冷たく言い放った。
それにショックを受けたらしいイーピン。
軽く涙目になる。
 
「ちょっと、彼女を虐めないでくれる?」
 
そしてこちらの雲雀は、隣のイーピンに向かって優しく微笑む。
 
「大丈夫だよ、イーピン。そっちの僕は僕だと思っちゃ駄目だからね」
 
「雲雀さん…」
 
「君の世界の雲雀恭弥は僕だけだよ」
 
「…はいっ」
 
 
イーピンの頭を愛しそうに撫でる雲雀。
そんなラブラブな2人を見て、向かいに座る別世界から来た雲雀とディーノは目を見張る。
 
「……恭弥が優しく笑ってる…」
 
 
「あんな僕が……」
 
「恭弥ぁ、俺にも頭撫で撫でして?」
 
「死ねば」
 
ガキン、と首筋にトンファーが向けられる。
ディーノは青ざめて黙るしかなかった。
 
 
 
 
「…にしても、別世界の僕がゲイに走っていたとはね…」
 
「僕もビックリだよ。そんな普通の女子と付き合っているとはね」
 
 
「「…………」」
 
 
またまた睨みあう2人。
 
 
「第一、あまり仲が良くなさそうだし?」
 
「僕の顔でそんなにデレデレされても不愉快なんだけど」
 
「そもそも、僕達これからデートだったんだよね。おかげでせっかくのオフが台無しだよ」
 
「こっちこそ、久しぶりにディーノと休みが重なったってのに、いい迷惑だね」
 
「それは赤ん坊に言いなよ」
 
「……そうか、赤ん坊…」
 
「全ての原因は彼だね」
 
 
そして同時に席を立つ2人。
明らかに目には殺気がみなぎっている。
それに慌てた横の2人。
なんとかしがみついて雲雀達を席に座らせる。
 
「雲雀さんっ、いくらなんでもそれは…っ」
 
「恭弥っ、悪いのはこっちのリボーンじゃなくて俺たちの世界のリボーンだろ?!」
 
 
「…イーピンがそう言うなら…」
 
「そういえばそうだね。じゃあ、向こうに戻れたら咬み殺すとしようか」
 
 
どうやら今すぐには行動しないらしい2人にほっとした恋人達。
そしてふと、向こうの雲雀は斜め前のイーピンを、こっちの雲雀も斜め前のディーノを見た。
 
 
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