献上小説置き場

□どこの僕でも
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※少しパラレル入ります。
 そして10年後設定です。
 
 
 
 
雲雀は混乱していた。
顔はいつもの無表情。
ただ、心中ではハテナマークが飛び交っている。
 
 
それもそのはず
 
だって目の前には―――……
 
 
 
自分がいたのだから
 
 
 
 
 
 
 
 
事の始まりは昨日の夕方。
 
久しぶりに次の日の仕事のオフが取れたので、イーピンに伝えようと沢田家へ向かった。
彼女は日本の学校に通い、結構頑張っている。
幼い頃話せなかった日本語も今ではペラペラだ。
だがまだ中学生、一人暮らしをさせるわけにも行かず、そのまま沢田家に居候している。
 
 
そしてオフを伝えると、イーピンは嬉しそうにして「じゃあ明日、一緒にお出かけしてもらってもいいですか?」と尋ねてきた。
 
馬鹿だね、最初からそのつもりだよ。
この僕がわざわざ知らせに来たんだから。
もちろん、明日は学校が休みなのも計算済み。
 
 
そして明日、外出する約束をした。
特に詳しい事は決めていない。
いつもそうだ。
街中を歩き、いろんな店に入り、面白そうな映画があったら見る、そんな感じだ。
とりあえずは、多分並盛周辺になるだろう。
 
 
 
 
 
 
そして当日。
 
合流して商店街に行く途中、2人はあり得ないものを見た。
 
 
それは、前方から歩いてくる雲雀。
 
イーピンは隣にいる雲雀と前から歩いてくる雲雀を交互に見て、かなり焦っている。
雲雀とて、何がなんだかわからない。
 
近づいてくると向こうも彼らに気づいたのか、その歩みを止めた。
 
 
 
「「「「…………………」」」」
 
 
 
両者、その場にいる者全て無言になった。
 
最初に声を発したのは、イーピンと出かけた雲雀。
 
 
「…君、何者なの?」
 
すると向こうの雲雀も返す。
 
「君こそ。ていうかその隣の女子誰」
 
どうやらイーピンの事を知らないらしい。
だがそれよりも気になる事が。
 
 
「何でそいつが君の隣にいるの」
 
そう言う向こうの雲雀の横には、彼の家庭教師でもあるディーノがいた。
そして睨まれたその顔は未だ硬直している。
 
「…恭弥……が2人?どうなってんだ?」
 
「それはこっちが聞きたいよ。てか何で貴方が休日に僕もどきと出かけてるの」
 
それにピクッと反応し、向こうの雲雀はディーノの前に立つ。
 
「この人は関係ないよ。それより、“もどき”ってのが気に入らないな。もどきはそっちじゃないの」
 
「何だって?」
 
「僕と同じ顔して。一体何者?」
 
「雲雀恭弥だよ」
 
「僕だって雲雀恭弥だよ」
 
 
「「……………」」
 
 
両者、睨み合いが続いた。
 
 
それを恐る恐る横目で見ながら、ディーノとイーピンはこそこそと話し出す。
 
「ディーノさん…ですよね。これってどういう事なんですか?」
 
「俺だって知らねーよ。にしても、イーピンって恭弥と仲良かったっけ?」
 
「…い、一応付き合ってます……けど…」
 
 
「は??!!」
 
 
「あれ?ディーノさんも知ってるハズじゃあ…」
 
「何言ってんだ、恭弥と付き合ってんのは俺だぜ?」
 
 
「……はい?」
 
 
「「………………」」
 
 
 
こちらも、お互い無言になってしまった。
 
 
 
そして隣では、雲雀が雲雀と闘っていた。
 
トンファーのぶつかり合う音が平和な並盛の住宅地に響く。
 
 
「ワオ、なかなかやるね、君」
 
「君こそ」
 
両者、全くの互角だった。
片方の雲雀が腕を掠めれば、もう片方の雲雀は足を掠める。
このままでは、お互い徐々に傷ついていくのは目に見えていた。
 
 
「雲雀さんっ、やめて下さい!!怪我が…!!」
 
「恭弥!!やめろって!!」
 
両者の恋人がそう叫ぶと、雲雀達は攻撃をやめた。
 
 
「……イーピン…そうだったね、こんなやつに今日1日潰されたらたまったもんじゃないしね」
 
「……ディーノ…咬み殺すよ」
 
お互い、恋人に対する反応は正反対だった。
 
 
 
 
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