献上小説置き場

□年の終わりも年の初めも愛する彼と
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「…もうすぐ年が明けるな」
 
時計の針は59分を回っている。
するとスクアーロはゆっくり武を解放し、まだ赤みのひかないその顔を愛しそうに見つめた。
そして、その唇に自らのそれを重ねる。
 
だが、いつもならすぐに深くなるはずなのだが、今日はただ唇が重なるだけ。
それでも、その時間は長かった。
 
 
「……ん…」
 
 
唇が離れる。
いつもと違う彼の行動に少し戸惑う武。
 
 
「…どうしたんだ?スクアーロ……その…」
 
あからさまに言うわけにもいかず、そこで途切れる。
彼の言いたい事を察したのか、スクアーロは苦笑した。
 
 
「足りなかったか?」
 
「っ…」
 
「冗談だ、悪ぃな。ただ、年越しは神聖に…とか思ってな。らしくないか?」
 
それで舌を入れなかったのか、と妙に納得してしまう。
 
 
 
 
「じゃあ…スクアーロとキスしながら年越したって事か…?」
 
「そうなるな。不満かぁ?」
 
「いや……すげ…嬉しい……けど…」
 
「けど?」
 
 
「っっ足りないっ!!」
 
 
そう叫んで、武は勢いよくスクアーロにキスをする。
そして初めて、自分から舌を入れた。
 
 
「ったけ……んうっ」
 
 
驚き焦るスクアーロ。
まさか彼からこんな事をしてくるとは思わなかったからだ。
 
だがやはり自分も浅いキスでは満足出来ず、武の深いキスに応える。
そして今度はこっちからさらに深く深く彼を堕とした。
 
たっぷり先程の2倍は長く愛を貪り、名残惜しく唇が離れる。
どちらのものともつかない液が最後まで2人を繋ぎ、そして切れた。
 
 
 
 
 
「あけましておめでとう、スクアーロ」
 
「日本じゃそう言うのかぁ」
 
「あぁ」
 
「…あけましておめでとう、武」
 
 
そして2人、見つめ合い微笑む。
 
 
 
来年もまた、こうして年を越せたらいい。
 
願いは同じだった。
 
 
 
 
 
 
「でもそっかぁ〜、スクアーロを想って感じながら年越したんだなー」
 
「おまっ、直球に…」
 
「なんかすっげー嬉しいのなー」
 
 
 
「………チキショウ…可愛い……っ」
 
「ん?何か言ったか?スクアーロ」
 
「っ何でもねーぞぉ!!」
 
 
 
 
 
 
今年も良い年になりますように
 
 
 
 

 
 
→後書き
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