献上小説置き場

□年の終わりも年の初めも愛する彼と
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大晦日。

 

 

スクアーロは山本家に来ていた。

といっても、普段から結構泊まったりしているので珍しい事ではない。
それでも、この日は武がどうしても来てほしいと言ってきたのだ。

 

 

 

「スクアーロ、いらっしゃい!!てか、おかえり!!」

 
「あ"…あ”ぁ"…」
 

閉店直後の竹寿司の入り口で、武が眩しいばかりの笑顔でスクアーロを出迎えた。

 

 

 

中に入ると、閉店したはずなのに料理が並べられていた。
主に寿司だが、他の料理もある。
そしてすごく豪華だ。
 
  
 
「何だぁ?コレはぁ…」
 
  
すると奥から剛が出てきた。さらなる料理を持って。

 

「お、来たかスク坊〜」

 
スク坊と呼ばれたスクアーロはとりあえずその辺に座る。
そしてこの状況の説明を求めた。
 
   
 
どうやら、大晦日だから祝っているらしい。
祝う意味がわからないが。
 
 
 
 
 
  
 
そして夜。
 
 
 
「乾杯〜!!」
 
  
 
剛とスクアーロは酒で、武はジュースで乾杯。
未成年という事もあるが、武はアルコールがかなり苦手なのだ。というか弱い。
 
  
 
食べ終えると剛は紅白歌合戦の主に演歌に釘付けで、暇になった2人は2階へ向かった。
 
   
 
  
 
 

「いやー、食ったなぁ」
 
 
「親父は寿司以外の料理もうめぇからなー」
 
 
いつものように武の部屋で、床に座りベッドを背もたれにしてくつろぐ。
そしてポツッと、武が言った。
 
 
 
 
「この年、いろんな事があったよなぁ…」
 
「そぉだなぁ…特にリング戦かぁ」
 
「でも、スクアーロと闘えて良かったのな」
 
「そぉかぁ?」
 
「あぁ!!だって、今こうしてスクアーロといれるのって、やっぱり剣を交えたからかなーって」
 
「…………」
 
「スクアーロが重症負ったのはすごく嫌だったし心配だったけど…」
 
 
 
スクアーロは、この時の武の様子を後からツナに聞いていた。
ツナ曰く、雨戦後の武は表向きはいつも通りのように見えるが、無理に笑っているのが近くにいるツナや獄寺には丸わかりだったらしい。
そしてぼーっとしている事も多かったと聞いた。
 
 
本当に、自分のわがままでコイツには辛い思いをさせたと思う。
でも、その分今がすごく大切なんだと実感出来る。
 
 
 
 
「…すまなかったな…」
 
「何言ってんだよ、俺はスクアーロが生きててすっげー嬉しいぜっ」
 
 
笑顔で言う武を、スクアーロは思いっきり抱きしめた。
 
 
すごく愛しい。
ずっとこうしていたい、そう思った。
 
 
 
「ス…スクアーロ…?」
 
 
武はスクアーロの腕の中で真っ赤になっていた。
それでも、彼の暖かな感触が嬉しくて心地よくて、一回り違うその背に腕を回す。
 
 
 
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