献上小説置き場

□年越しは大好きなあなたと
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「んで、何でクッキーだったんだ?」
 
特に、大晦日や正月に関係があるとは思えない。
 
「え…と……それは…」
 
ギクリと冷や汗を流すツナ。
その反応をザンザスは見逃さない。
 
「何でだ?」
 
 
「………簡単…だったから…」
 
 
「…………」
 
「いやっ、俺料理なんて普段やらないから、これくらいしか出来なくて…っ」
 
慌てて弁解するツナ。
それでも、大変だったのだろう。
クッキーがまだ温かい。
先程まで作っていた証拠だ。
それ程、時間がかかったのだろう。
 
 
 
「おまえの愛、確かにもらったぞ」
 
「…っうん…」
 
また、抱きしめられる。
恥ずかしいけれど、こうして彼の温もりを感じているこの瞬間がツナはとても好きだった。
 
 
 
「…で、おまえ自身からも愛をもらえるんだろうな」
 
耳元でそう囁くザンザス。
 
「へ??!!」
 
彼の腰に響く声に、ビクッとツナの体が反応する。
 
「まっ、そーゆー事だ。2人の初の年越しは繋がりながらにするか」
 
「繋が……ってまさか…」
 
そこでツナの台詞が途切れる。
もちろん、恋人によってベッドに押し倒されたからだ。
 
 
「綱吉……」
 
いいよな?というような深紅の目に、逆らえるはずもないツナ。
自分だって彼を感じたい。
年越しをベッドの上で過ごすのは恥ずかしいけれど、それでも嬉しい。
 
 
 
「愛してる、ザンザス」
 
 
「っっ!!」
 
一瞬、ほんの一瞬だけ、ザンザスの顔がボッと紅くなる。
それをツナは見逃さなかった。
 
「ザンザス可愛い〜っ」
 
「なっ……」
 
クスクスと笑うツナに、ザンザスは黙れと言わんばかりに上から唇を重ねる。
 
「んうっ……ザ…」
 
「ん?」
 
ツナが何か言おうとしたので、一旦唇を離す。
 
 
「ザンザ、ス……は?」
 
それだけで、彼が何を言いたいのか、言ってほしいのかわかった。
 
 
「愛してる、綱吉」
 
 
それを聞くと、ツナはこれ以上ない笑顔でザンザスに口付ける。
これまた驚くザンザス。
いつもと違う積極的なツナに先程から振り回されっぱなしだ。
だがすぐに主導権を取り戻す。
 
 
「今日は寝られると思うなよ」
 
「かっ…覚悟しとく……」
 
 
 
そうして、何処よりも甘く、2人で年を越したのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
元旦。
 
 
「…ホントに夜通しヤるなんて……」
 
「覚悟してたんだろ?」
 
「そうだけどっ……しかも年越しと同時にイかされた……」
 
「いやー、思い出に残る年越しになったなー」
 
「1番恥ずかしい年越しだよ!!」
 
「でも、1番いい年越しだったろ?」
 
「う〜〜………うん」
 
よし、と満足そうに笑うザンザス。
 
 
「あけましておめでとう、ザンザス」
 
 
「あぁ。あけましておめでとう、綱吉」
 
 
 
 
願わくば、来年も再来年もずっとずっと、こんな風に一緒に年が越せますように。
 
 
そして、今年も良い年でありますように。
 
 
 
 
 
 
 
→後書き
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