記念品小説

□女の子×男の子
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花ザン
 
 
 
その日はいつものように、花は親友の京子の家に遊びに来ていた。
 
最近の京子はいつにも増しておかしい。
というのも、兄が変な男とよく一緒にいると言うのだ。
 
そして問い詰めると、その男の写真を見せてくれた。
その男の仲間だという者も写っている。
 
「…………京子、この人…」
 
「あぁ、その人?ルッスーリアさんの上司なんだって!滅多に撮らせてくれないらしいから、貴重だって言ってた」
 
ルッスーリアとは、彼女の兄である了平とよく修行している例の男の名だ。
 
花が気になった人物は、そのルッスーリアのずっと後ろの方で酒を飲んでいるザンザスだった。
 
 
 
 
 
あの日から、花はザンザスの事が気になってしょうがなかった。
もともと年上好きな彼女、ザンザスはまさにストライクだった。
 
今日も彼を思いながら1日を過ごす。
あの写真をもらいたかったが、どうやら絶対に外へ出してはいけないときつく言われたらしいから仕方ない。
そこもまたミステリアスで素敵だ。
 
 
 
「……え…?」
 
ふと、下校途中の花の足が止まる。
目の前から歩いてくる黒い人。
真っ黒なコートに黒く短い髪、目立つ羽飾り。
近づいてきてわかる、顔の傷跡と緋色の目。
 
呼吸すら、出来なかった。
 
 
 
「あのっ……」
 
「あ?」
 
ザンザスは声がした方へ視線をやる。
すると黒髪の女子中学生がいた。
 
花は思いきって話しかける。
 
「あのっ、ザンザスさんですよね?」
 
「テメェ、何で俺を知ってやがる」
 
「京子から写真見せてもらって、名前聞いたんですっ」
 
「京子?」
 
「え〜っと確か…ルッスーリアさん?繋がりで」
 
「オカマか」
 
ザンザスは舌打ちをする。
自分が知らぬ人物に知られていたというのは、気分のいいものではない。
というか暗殺部隊が写真を人に見せるとは……問題外だ。
 
 
「で、何の用だ」
 
「私っ、貴方の事、もっと知りたいんです!」
 
「…………は?」
 
敵対マフィアか?と思ったが、それならルッスーリアが気づくはず。
それにこんなに堂々と情報を聞き出すはずもない。
 
実はザンザス、色恋沙汰に全くといっていい程免疫がなかった。
それもそのはず、若い頃に氷付けにされ、最近までずっと外に出られなかったのだから。
 
「………断る」
 
悩んだあげく、そう返答した。
普通そう言うだろう。
 
だが花はめげなかった。
 
「ちょっとずつでいいんですっ、私、貴方に一目惚れしたんです!」
 
「……………」
 
「貴方のそのたくましい身体、切れ長の深紅の目、堂々としたただずまい、どれをとっても私の理想なんですっ!是非お付き合いして下さい!!」
 
「こ…断る!カスが!」
 
押されに押され、たじたじになりながらもザンザスはそう言いきる。
だが花は、「そんな素っ気無いところも素敵」とうっとりするばかり。
恋する乙女、恐るべし。
 
結局どうなったかというと、それはもう少し先のお話。
 
 
 
 
 
数ヶ月後。
 
「ザンザスッ、お仕事お疲れ様!」
 
「あぁ」
 
「あ〜ほら、また窓からっ。ちゃんと玄関から入ってって言ったでしょ?」
 
「めんどくせぇ。窓も立派な出入り口だ」
 
「ダ〜メ!ほら、やり直し」
 
「チッ」
 
そして素直に玄関に回るザンザス。
 
あれから花が押しまくって付き合い始めた2人。
最初は大人な感じのザンザスに惚れた花だが、段々と彼が見た目より幼い事がわかった。
口は悪いしやる事は大雑把だが、強く言えば素直に言う事を聞いた。
今では花の方が年上のような関係だ。
 
だがそれでも、彼女はザンザスに減滅しなかった。
むしろ放っておけなくなったのだ。
もともと花は、世話好きなのだ。
おっとりした京子の事も心配するようなお姉さん気質。
もっとも、ランボのようなただうるさいだけの子供は相変わらず嫌いだが。
 
 
 
「ちょっ、ザンザス!靴は脱いでって言ったでしょ?!」
 
「そうだったか?」
 
「もうっ……」
 
そんなこんなで、とりあえず幸せにやっているのだった。
 
 
 
 
 
 
―――――――――――――――
花×ザンザスでした。
ちょっとお馬鹿なザンザスを失礼しました…。
 
2009.10.04移動
 
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