記念品小説

□ハチャメチャクリスマスパーティー
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『王様だ〜れだ!』
 
 
「俺だ」
 
リボーンが得意そうにそう言った。
 
 
「……リボーンが王様…怖いっ」
 
ツナはザンザスにしがみつく。
絶対にこの回だけは当たりたくなかった。
 
リボーンは意味深に笑い、高らかに言い放った。
 
「5番と10番の秘密を周りに暴露してもらうぞ」
 
 
「………は?」
 
ツナは一寸置いて反応する。
とりあえず番号には引っかからなかったが、命令の意味がよくわからない。
 
「リボーン、番号指名された人が何かするんじゃないの?」
 
今のでは、むしろその2人が何もしない事になる。
 
「いや、2人には秘密を暴露されて存分に恥辱を味わってもらう」
 
これ以上の苦痛はないだろう?と、ドS家庭教師は言った。
 
 
「で、5番と10番、早く名乗れ」
 
名乗りたくはないだろうが、悲しきかな、そんな訳にもいかない。
 
 
「5番…俺だ……」
 
獄寺が嫌々名乗り出た。
 
「10番は?」
 
そこで、今までおとなしかったランボが骸の引いた棒を取り上げると、コタツの上に上って叫んだ。
 
「ランボさんこれ知ってる!これ“じゅう”って読むんだもんね!!」
 
そう言って掲げた骸の棒の先には、確かに「10」と書かれていた。
 
 
「ラ、ランボ……」
 
ランボのした事なため、怒れない骸。
リボーンは「たまにはコイツも役に立つじゃねーか」と、珍しくランボを褒めるのだった。
 
 
 
 
そして、まずは骸がターゲットになる。
といっても、彼を良く知っているのは犬か千種しかいない。
だが彼らはここにはいない。
そう思っていると……
 
 
「あ、ここら〜」
 
「お邪魔」
 
なんと、庭の窓から犬と千種が入ってきた。
 
「特別ゲストだぞ」
 
どうやらリボーンが緊急で呼び出したらしい。
骸は、まさに世界が終わりそうな顔をして固まった。
 
 
「骸しゃんの秘密れしょ?そんらのいっぱいあるんら」
 
「……後で殺されない程度に話す」
 
「2人共っ、恩を仇で返す気ですか?!」
 
「骸様、これはただのゲームです」
 
骸の悲痛な叫びにも、千種が冷静に対処する。
 
 
 
犬は楽しそうに語り出した。
 
「骸しゃん、実は部屋にこの牛っ子の写真とか集めてるんら」
 
「なっ、何故それを?!」
 
「まだまだ……」
 
さらに話そうとする犬を止めて、千種が前に出た。
 
「骸様、夜な夜な枕を抱きしめて“あぁ…僕の愛しいランボ、今すぐ貴方をマフィアの魔の手から救って僕の元に置いておきたい……”とか“やっと手に入れたチョコ味の飴玉、早くランボに食べさせてあげたい……僕と仔牛の好物がミックスされた素晴らしい食べ物……あぁっ、これこそまさに夢のコラボ!!”と言ってた」
 
「盗み聞きしてたんですか?!」
 
先程から否定はしない骸。
もはや冷や汗がダラダラ流れていた。
 
「あ、あと、骸しゃんのその髪型、毎朝1時間かけてセットしてるんら」
 
「犬っ!それは最大の秘密でしょう!!」
 
いや、最後のはきっと誰もが知っていたし、どうでもいい事だろう。
皆もそう思っていた。
 
 
 
 
「そんじゃ、次は獄寺の秘密だな」
 
リボーンはとりあえず骸を解放した。
 
打撃を浴び続けたパイナポーは、何もわかっていない仔牛にすがりつくように泣いていた。
……なんというか、見るに耐えない光景だ。
 
 
「それにしても、獄寺君の秘密って何かな?」
 
ツナは疑問に思う。
思えば、彼の秘密など知らない。
いつもいつも全力投球でぶつかってくるから、秘密などないと思っていたが、やはりあるのだろうか。
 
「誰か言いたい奴いるか?」
 
「はいは〜い!」
 
ベルが手を挙げる。
なんとも楽しそうだ。
 
「ベルか。何かあるか?」
 
「隼人の秘密っしょ?しししっ、王子沢山知ってるよ〜」
 
「嘘つけ!」
 
獄寺は吠えるが、自信はなかった。
 
「隼人はぁ、実は足の付け根に2つ並んだ可愛いホクロが……痛っ!!」
 
言いかけたベルの頭をリボーンが叩く。
そして「下ネタは基本なしだ、惚気になるからな」と言った。
確かに、ソッチ系なら恋人は沢山知っている。
 
 
 
「あ、俺いっこ知ってるのな!」
 
突然、意外にも山本が名乗り出た。
 
「なっ、野球バカ?!テメェが俺の何を知ってんだよ!」
 
「それがなー、この前ツナと獄寺ん家に行った時、便所の場所を案内すんのに2人で出てったから、そん時に本棚にあるアルバム見ちゃったのな」
 
「そんな事もあったね〜」
 
ツナの家はチビ達がいてうるさいし、山本の家はその日は団体のお客がいて騒ぎが部屋まで聞こえてきてしまったため、獄寺の家へ行ったのだ。
そしてトイレの場所がわからないツナに獄寺が案内した。
 
「それでな、そのアルバム……」
 
「ちょっと待ったぁぁ!!」
 
獄寺が慌てて叫ぶ。
それはヤバイヤバイ絶対言うなこの野球バカ!と畳み掛けた。
 
「獄寺、基本的に指名された奴には黙っててもらうぞ」
 
リボーンが銃を向けて威嚇する。
その目は、ゲームのくせにマジだった。
 
 
「で、山本、続きを話せ」
 
「おうっ。そんでな、そのアルバム、い―――っっぱいツナが写ってたんだ」
 
「………俺?」
 
ツナは自分を指差す。
確かにプリクラも何回か撮ったし、学校行事で写真も撮った。
けれど、そこまで沢山はないはずだ。
 
首を傾げるツナの横では、ザンザスが物凄い形相で獄寺を睨んでいた。
自称右腕の彼がツナを慕っているのはわかっていた事だが、まさかここまでとは予想外だった。
 
「…でな、その横の棚に……」
 
「まだあるの?!」
 
さらに何かを言おうとした山本に、ツナは思わずツッこんでしまう。
獄寺は先程よりも焦った表情をするが、目の前に構えたままのリボーンの銃口を見て口をつぐんだ。
 
「さっきのアルバムがあった棚の横の棚に小さいノートがあったから、見てみたら日記だったのなっ」
 
「それって…」
 
プライバシーの侵害って言わないか?
 
だがそこは山本、しっかりバッチリ迷う事なく読んでしまったらしい。
 
「前の方はツナの事ばっかりだったけど、最近はベルの事が多かったのな」
 
「この野球バカ……っ!!」
 
「隼人…そんなにも王子の事を………っっ隼人ぉ――――っ!!!!」
 
ベルはわなわな震えると、獄寺に抱きついた。
 
「王子超カンドー!なになに、そんなに王子の事大好きになっちゃった?」
 
「ふざけんな!他に書く事がなかったんだよ!!」
 
真っ赤になって言い返しても説得力がない。
ゴロゴロと懐くベルに悪戦苦闘する獄寺だった。
 
 
 
 
 
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