CP小説

□熱病
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ずっと…
どんなに手を伸ばしても届かない星の様なものだと思っていた。
眺めていればいるほど輝きが増してくる…
そんな星の様だった。
飽きる事なく俺を引きつけ、目を反らす事を許さない…。
離れたくても離れられない、けれども決して捕まえる事の出来ない星…
俺にとってヘソンはそんな存在だった。

馬鹿騒ぎして、笑っているヘソン。
真剣な表情で楽譜を眺めるヘソン。
体を揺らしながら楽しそうに歌うヘソン。
鏡を睨みつけながら髪を整えるヘソン。
不機嫌そうに眉間に皺を寄せているヘソン。
沢山の人の前で堂々と歌うヘソン。
恥ずかしそうに鼻を掻く仕草も、乾いた唇を舐める仕草も、笑う時に口にあてられる手も…
どのヘソンも俺にとって癒しだった。
勿論、現実には触れる事も抱きしめる事も…
ヘソンの機嫌さえ良ければキスすることだって出来る。
だけど…違う。
俺の求めるものとは違う。

いつしか眺めているだけでは満足できない自分に気付いた。
癒しの筈だったのに、苦痛になる。
身体を蝕んでいく熱病にかかったみたいだ。
ヘソンを思う度に、胸が苦しく、時には吐き気をもよおしてしまう事もある。
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