CP小説
□Kill me
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昨夜は空がいつになく、綺麗だった。
月も星も競い合う様に輝いている。
だけど窓を開き、ヘソンへの感傷的な想いに浸っている俺を嘲笑う様に風は冷たい空気を運んでくる。
「もうすぐ夏なのになぁ…」
苦笑いをしながら俺は窓を閉じ、カーテンを引いてベッドに入った。
朝目が覚めても空気の冷たさは変わらず、俺は天井を見上げる。
【ヘソンは大丈夫かな?】
ちゃんと窓を閉めて寝たんだろうか?
俺はベッドから身体を起こし、昨日脱いだままだった薄いパーカーを羽織った。
「寒っ…」
少しカーテンを開き、外を見ると小雨がぱらつき通りには花が咲いているみたいに沢山の傘が見えた。
「昨夜の綺麗な空は何だったんだよ…」
【夜、星が綺麗に見えたら次の日は晴れだよ】
小学生の頃に聞いたそんな言葉を思い出し、俺は小さく舌打ちしながらそう呟いた。
「おはよ…」
「ヘソン…?」
「なに?」
「いや、何でもない」
朝、俺より少し遅れて出てきたヘソンの顔色は少しいつもより白い気がする。
サングラスに帽子姿のヘソンは窓の外をずっと見ていた。