短編集
□ヒバツナ
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「本当お前はダメツナだな。」
「財布よこせよ」
「今……お金なくて…」
「はあ?!意味分かんねえーよ!」
「ダメツナは俺らに可愛いがられてーのかよ」
「うわっ、こいつマゾかよ」
「きっもー」
また弱い草食動物が弱い小動物をいじめてる。
そんな光景を見る度に昔の僕に似てるな、って思ったりするんだ。
「ねえ。風紀を乱す行為は謹んでくれないかな」
「あ…ヒバリさん」
「ひいいい!」
「うるさい…。咬み殺す」
「すいません。ありがとうございました!」
「ううん。別に君のためじゃないから」
「でも……それでも助けてもらったことには変わりないですから」
「……そう」
「……」
「ねえ…」
「はい!?」
「………今度また、なにかあったら僕の名前呼んでよ」
「…はい?」
「2回も言わせないで。助けてあげるって言ってるの」
「…えっと、なんで、ですか?」
「…………君はいいんだよ、弱いままでも」
「…」
そう言ったヒバリの顔は悲しみの色に染まっていて…自分には何もできないけどなにかしてあげなくてはと本能的に思った綱吉は、そっと硝子玉を扱うように優しくヒバリを抱き締めた。
「?!…な、なに」
「え、っと……。なんか…ヒバリさん悲しそうにしてたから…」
「……僕は別に」
「……迷惑ですか?」
「………別に」
拒否しないヒバリを見て嬉しくなった綱吉は、ヒバリの丸っこい頭を優しく撫でてあげた。
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