小説1
□また忘れよう
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僕たちは、お互いに何も言わず、しばらく抱き合っていた。もう少しそうしていたかった。しかし、お客さんが増えてきたようで、おばさんが秋本に手伝うように言ってきた。秋本は服を来て、その上におたやんのエプロンを着けた。
「お好み焼きをご馳走になったし、僕も手伝うよ。」
「そんなん気にせんでええって。明日、婆ちゃんのとこへ顔見せに行くんやろ?何時や?朝早いんやろ?」
「えっと、確か七時半に出発の予定だった、と思う。」
「それやったら手伝いなんかええから、早う帰り。」
「でも・・・。」
「本間に歩は気にしいやな。」
おでこを人差し指で軽く小突かれた。おでこを押さえる。
「おばさんが心配してるかもしれんで。早う帰って安心させたり。」
そう言って、秋本は僕の背中を押しながら店の外に連れ出した。
「じゃあな。」
「・・・うん。またな。」
秋本が店内に戻ろうと、扉に手を伸ばす。
「秋本。」
「うん?」
秋本は、手を扉に掛けたまま振り向く。
「ありがとう。嬉しかった。」
僕は走って帰り道を進んだ。秋本は顔をポカンとさせていた。そして、僅かながら頬が紅くなっていた気がする。最後に自分の気持ちを言葉にできて良かった。
マンションの部屋の前に着いて思い出した。また、本を返すの忘れちゃた。でも、まぁいいか。返しに行ったら、また会うことができる。
ドアを開ける。
「ただいま!」
後書き
毎度毎度の寝起き、抱きネタで申し訳ありません。この2つは書くことが好きからか、これらのネタばかりが思い浮かんでしまうんです。次とは言い切れませんが、今後はちょっと違うネタを書いてみたいです。
勝手気ままなサイトを訪れ、拙い物語を読んで頂きありがとうございました。またの訪問をお待ちしております。
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