▽short
□フェンスの向こうに、君
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それは偶然の事だった。
居残りで遅くまで学校にいた私は電車に乗り遅れそうで慌てていた。
何もないグランドをただ必死に走っていると突然足が絡まって私は転けてしまった。
人が少ない時間帯で本当に良かったと思う。
「大丈夫?」
「!」
見られていた。
野球部のユニフォームだ。
私に手を貸してくれた彼は隣のクラスの田島君だった。
「痛‥っ」
「うわ、まさか足捻った?」
足首に走る激痛に顔をしかめると田島君が急に、急に、私をお姫様抱っこ…して走り出した。
「しのーかーーー!」
それから私は野球部のマネージャーさんに応急措置をしてもらって監督さんに送ってもらった。
優しい彼に惚れてしまった。
練習試合は大体見に行く。
そして、フェンスの向こうにいる彼を今も、応援し続けている。
フェンスの向こうに、君
(がんばれ、田島君!)
((あ、あの時の…))
60000打企画‐フェンスの向こうに、君