▽short2

□これは夢だと思うんだ
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「三橋君、聞いてる?」

「うっ…うん!」

今俺は勉強を教えてもらっている。

大好きな人に。

胸がどきどきして、集中出来ない。

「じゃあここやってみて」

「あ‥え、と」

「どうしたの?」

「もっかい…教え、て」

どきどきして君の声が聞こえない。

俺の心臓がうるさい、うるさい。

「ごめんね‥説明下手で‥」

「ち、違っ!」

俺がちゃんと聞いてないだけなんだ。

「…ちょっと休憩しよっか!」

一方的な俺の片想い。

今日一緒に勉強出来ているのは泉君のお陰だった。

泉君と同じ中学で結構仲が良かったんだって‥ウヒ。

ありがとう、泉君。















テスト返却日。俺は舞い上がった。

あの時に教えてもらった教科で高得点がとれたんだ。

俺は嬉しくて嬉しくて、昼休みにそのテストを持ってあの子のいる7組に行った。

「!」

「良かったな」

「うん‥!」

そこには花井君と楽しそうに話すあの子の姿。

「ありがと、花井君のお陰だよ!」

顔…赤い…。

テスト用紙をぐしゃりと握って、俺は廊下を駆け抜けた。















これは夢だと思うんだ

(俺の夢はそのまま覚める事はなかった)



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