▽short2
□高層ビルからダイブする
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「俺…お前が好きかもしんない」
「え?」
昼休み、屋上に来いと泉に言われて来てみればこれだ。
「どうしたの、いきなり」
泉とは中学からの仲だった。
野球をしている時の泉は本当にかっこよくて、でも普段は毒舌のようで優しくて。
そんな彼に恋をしてしまった事もあった。
「俺…バカだよな」
答えはノーだったけれど、今もこうして普通に話せる中だ。
「本当はあの時俺もお前が好きだった」
「はい‥?」
「だけど、何か意地張っちまってさ」
何を言ってるんだろうか。
「それから自分が分からなくなった。もしかしたら、お前を幸せにする自信がなかったのかもな」
「………」
「でも」
強く風が吹き付けた。
「やっと決心したんだ」
「泉…」
「まだ俺に気があるなら、付き合ってほしい」
…そういうあんたの強気な所も私は好きだった。
今は今、昔は昔。
私はもう泉に告白した事なんて気にもせずに友達として接していたのに。
高層ビルからダイブするような勢いで私の恋心はまた泉へと堕ちたようだ。
何て、卑怯なやつ。
あんたもバカだけど、本当にバカなのは私かもしれない。
高層ビルからダイブする
(あの時私を泣かせた事を、後悔させてあげるんだから)