堕天使の恋

□一章
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【あの時、私は空を飛ぶ鳥に憧れていたのかもしれない】

一羽「空」


風がカーテンをヒラヒラとゆらす。
黒板には教科書通りの公式に問題文の白い文字が並んでいる。
「いいかー、この公式を応用してだなー・・・」
聞こえるのは無機質な教師の声と、問題を解きノートに走らせるシャープペンの音と時計のカチカチ時を刻む音くらい。
頬杖をしながら窓からみえる空を眺めていた。
「今は空を見る時間じゃないぞ。随分余裕あるんだな?」
「・・・さぁ?」
希羅が空から目線を黒板のほうに向けると、チョーク片手に教師が機嫌悪そうに睨んでいた。
「希羅、御前は俺の授業を受けるきがないのか。」
「別に。」
希羅は口元をニヤリと上げ挑戦的に笑った。
すると教師は溜息を吐き授業を再開させた。
まるで彼女の存在自体を無視するかのように。
「くっだらないな。」
周りを見渡せば個性の欠片もない同級生達の背中。
皆同じ制服に同じような髪型。
そして狭い教室。
何だか鳥篭にいるような錯覚に陥る。
首を振り再度、空に目をうつした。
「・・・あ。」
鳥が飛んでいた。
青空に浮かぶ太陽の眩しい光の中で自由に飛んでいた。
「いいなー・・・私も飛びたい。」
羽があるのなら今すぐ、こんなつまらない場所から逃げ出してやるのに。
「なぁ、御前は何を夢見て何を望む?」
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