novel

□視線の先、目指した場所
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「君が自発的に会いに来るなんて珍しいね」

下町の中心にある噴水の前でフレンは目を丸くした。

「いや、これ強制だから」
「だろうね」

適当に腰掛けるとオレは手に持っていたパンを半分にちぎって片方をフレンに投げてよこす。
それが何を意味しているかは当人なら言わずも理解できるものだ。
下町に帰って来たのは本の数時間前。
久しぶりにまとまった時間が取れたから、自室で惰眠でも貪ろうと思ってた。
そのプランはテッドが飛び込んで来たことで叶わなくなっちまった。
フレンが帰って来てるから仲直りして来い、と押し切られることで。
別に喧嘩なんてしてなかったから来る必要はなかったかもしれない。
けど、いつかのように二人で半分こするためのパンまで用意されちまったら、断り辛かった。

「一緒にいないと喧嘩してることになるんだな、オレ達」
「昔からずっと一緒だったからね」
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