novel

□reliance
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依存ってものの恐さは

自分が気付かない間に進行していくこと

こうしてる間にも

さっきよりずっと

強くなる




「やっぱりここが1番落ち着くな」

そう言いながらユーリは定位置とも言える窓枠に腰掛けたまま伸びをする。
久しぶりに帰ってきた自室に自然と力が抜けていく。
数カ月前までは特に気にも止めなかった。
当たり前に思っていた訳ではないのだけれど。
改めて自分の産まれ育ったこの町に愛着を感じる。
昔からの馴染みある面々
変哲のない見慣れた日常
過ぎてゆく穏やかな時間
それらをしみじみと感じていると不意に盛大な溜め息聞こえた。

「何か不満か?おっさん」

室内に目をやれば、レイヴンがベッドの上で唇を尖らせてこっちを見ている。

「不満っつーかねぇ。…そーね、ちょっぴり?いやだいぶ不満よ」
「人の部屋に上がり込んどいて文句付けるな」

ユーリの部屋は必要最低限の物しかない。
むしろ不足しているようにさえ感じる程で、殺風景なことこの上ない。
無駄がなさすぎて面白みなどかけらもない小さく狭い部屋。
退屈だって言うなら出て行けば良いだろ、と言うとレイヴンは眉を寄せて溜め息を一つ。

「違うのよ。そーゆーんじゃなくてさぁ」
「?何だよ」
「分っかんないかなー」

言わんとしていることがわからずユーリは首を傾げる。
その様子を見てさらに溜め息を吐くと小さく拱いて側に来る様に促される。
素直に従ってやると腕を引かれた。
急なことだったのでバランスを崩した体はすっぽりと腕の中に収められ、肩に顔を埋めるような態勢そのままで抱き込まれた。
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