novel

□浮かぶは夢か現か
1ページ/5ページ


逃れることのできない闇に捕らえられて

いっそ己が身を引き裂いてほしくなる

その闇は幾重にも連なる腕
温もりのないそれらは
じわりじわりと締め付ける

足を 腕を 首を…

嘲るような声が響く

 お前は何も感じ得ないだろうに

そうだ
この身は何も感じない
痛みも苦しみも
何もかも忘れてしまったのだ

なのに
口をついて出ようとする言葉があるのは
意識とは関係なく腕が動いたのは

どうしたことだろう…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ