09/03の日記

23:40
社内ファンタジー
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新入社員の頃、課内でよく「伝説の山田さん」という名前が飛び交っていた。

俺はその「伝説」という響きに憧れていたし、その山田さんっていう人が何をしているのかに日々胸をときめかせていた。



ある日、主任に「この書類、伝説の山田さんのとこに持っていって」と頼まれた。

俺は飛び上がりそうになった。

入社して一年、ずーっと憧れていたあの「伝説の山田さん」についに会える、そう思ったからだ。

しかし、俺はここで浮かれていては他の人に頼まれてしまうかもしれないと思い、敢えて平然な顔で聞いた。


「あのー、伝説の山田さんって何処におられるのですか?」


「伝説の山田さんなんだから、伝説の部屋に決まってんだろ。地下1階の奥だよ。」


俺は踊ってしまうくらいワクワクした。

「伝説の部屋」という現実世界では滅多に聞くことのないファンタジックな場所(しかも地下1階の奥)に、俺みたいな新米が行けるとは思ってもいなかったからだ。

俺はネクタイをキュッとしめ、書類を持ってエレベーターに乗った。

すると、先に乗っていた女性が話しかけてきた。


「何かいいことでもありました?」


「えっ、どうしてですか?」


「いや、とってもニコニコされているので。」


顔に出ていたか……まだまだ未熟者だな、と思いながら打ち明けた。


「ええ、今から伝説の山田さんに会いに行くんですよ。それでもう、ワクワクしちゃって。」


女性は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに笑顔になって言った。


「そうですか。それは良かったですね。」


チーン


エレベーターが地下1階で止まり、俺はエレベーターを出た。
廊下を真っ直ぐ歩いて行く。

一歩一歩と歩くごとに胸がドキドキするのを感じていた。

そしてついに一番奥の部屋の前についた。

扉にはこう書かれていた。


















「電気設備課」













一年間の憧れとこれまでのドキドキとワクワクが音をたて崩れていった。







解説
「電気設備課」

「電気設備課の山田さん」

「電設の山田さん」

「伝説の山田さん」



☆コメント☆
[作者] 09-03 23:41 削除
BY斎藤

[前沢] 09-04 00:12 削除
あなたの脳内がファンタスティック

[今tk] 09-04 07:22 削除
途中のエレベーターのくだりとか素敵すぎたのにw

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01:12
The Monkey's Paw BY今tk
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化物語(6話〜8話)に出てきた悪魔の手の話。
その話の元ネタを見つけたんで興味ある人はおもしろいかな〜って。

それは-猿の手-
化物語の悪魔の手はこのドイツに伝わる猿の手を元にしています。

ドイツ国内では超有名な話だそう。

日本でいうトイレの花子さん…みたいな。

「猿の手」は箱に収められています。ひじから下の部分をミイラの状態で。
持ち主の願いを何でも3つまで叶えます。
しかし、
「持ち主の意に沿わない形で。」

例えば運動会。リレーで1番になりたいと願っても、決して足が早くなるわけでわなく同じレースで走るはずだった友達が急に死んでしまう。結局は走る人は自分1人になり、1番になる。願いは叶えるが、願ったものの真意にそわない形で。





ある日、老いたホワイト夫妻は「猿の手」のミイラを手に入れた。

元の持ち主のモリス軍曹が言うには、その猿の手には魔力が宿っていて、持ち主の望みを3つだけかなえる力があるらしい。

ホワイト氏は、家のローンの残り200ポンドが欲しいと願った。

その翌日、ホワイト夫妻の一人息子が工場の機械に挟まれて死んだと知らせが届く。

その会社は賠償金として金一封200ポンドを夫妻に支払った。

老夫婦は息子の死を嘆き悲しんだ。

そして、猿の手に「死んだ息子を返してくれ!」と願った。
その夜、深夜。

夫妻は家のドアを何者かがノックする音に気付く。

夫人はその者を迎え入れようとしたが、
不吉な気配を悟ったホワイト氏は猿の手に3つめの願いを祈った。

激しいノックの音は突然途絶えた。




…これが原文の日本語訳。

つまり、

家のローン200ポンドが欲しい→息子が死ぬ→その会社側から200ポンドが送られる。


死んだ息子を返してほしい→だったらお前らを息子の所に送ってやるよ(ドアをノックする音=何者かが夫妻を殺しにきた音)


そうすると、3つ目の願いはなんだったのだろう?

夫妻が3つ目を願った瞬間、ノックする音は消えた。

単純に玄関にいる何者かを消してくれ
と願ったのかな?


アメリカに伝わっている話ではこう続きます。


夫はドアを開けた。するとそこには死んだ息子がいた。左手が猿の様な手になった血だらけの息子が。息子はその手で夫の首を締めはじめた。

それを奥の部屋から見ていた妻は恐ろしくなり箱から猿の手を取り出しこう願った。
「命を助けてください」…と。
息子は消えていた。結局、妻の手に残ったのは現金200ポンドだけであった。


…ん。。結局最後は息子も夫も失ってしまうっていう。

息子を返してほしい→夫妻が死んで息子の所へ行けばいい→死者の国から息子が迎えにきた


命をたすけてください(私達の)→猿の手はこれを「私の命を助けてください」だと受け取った→だから妻の命だけが助かった。

…というなかなか深い話です。



☆コメント☆
[前沢] 09-04 00:11 削除
原作見てから、じっくりじゅるりと読みます!

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