花鳥風月◇龍姫伝
□【序章】運命の双子
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此処は龍神の加護に護られ、
恵豊かな平和と神話の国──
豊葦原・中つ国。
龍神の声を聴く事が出来る巫の女王が統治する国で、中つ国に加護を与えし龍神と意思を交わす事が出来る『神子』でもある女王とその姫は、
高貴で尊い特別な存在として、国の全てを照らし、人々の心を束ねる太陽の光そのものだった。
現女王陛下には、次期女王の一ノ姫、
その6歳下の妹に、双子の二ノ姫、三ノ姫がいた。
一ノ姫は、強く優しい性格で、妹想いの良き姉であり、高い霊力を持つ事で知られていた。
次期女王としての素質も申し分なく、
中つ国の未来は安泰だと、誰からも期待されていた。
女王と、臣下達が憂いている不安の種は、二ノ姫と三ノ姫。
二ノ姫と三ノ姫は瓜二つの双子で、その姿は黄金の御髪に蒼の瞳。
それは、神々からの寵愛を受けし神子である証。
だが、この容姿は、中つ国最初の龍神の神子と同じもの…。
初代の神子は龍神を喚ぶ事に成功し、世界は救われたが、龍神を召喚した代償の贄として、天に召された…命を落としたと伝えられている。
それ故に、黄金の髪に蒼目の神子は忌むべき者、と考えるのが通常だった。
二人は所謂、異端の姫だった。