☆ロイ受☆

□SKY
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空・・・


青い空


赤い空


黄色い空


空は表情を変える


涙のような雨を流す


怒りのような雷もおとす


いつも同じ空はない


ただたったひとつ変わらないのは


空は常に何処とでも繋がっている


今は届かないあなたと私を繋ぐたった一つの橋だから


何処にいてもあなたと繋がっていられるから


だから空が好き・・・・・・・・











ロイは空を仰いだ。
空は憎たらしいぐらいに綺麗に晴れ渡った青。
ロイは物思いに耽るときに空を仰ぐ癖がある。
その時の黒い瞳は深い・・・・・・・・
不意にロイは苦笑を浮かべる。
「昔・・・どっかの誰かさんと同じように青い空を見ていたことがあったな」







「おい・・・・・・ロイ〜さぼりか?」
木の陰で仮眠をとっていたところ上から声が降ってくる。
ロイがゆっくりと目をあけると眼鏡をかけた男が笑みを浮かべていた。
「・・・ヒューズ・・・・・・・・・」
そう呟きながらロイはだるそうに体を起こす。
「なんだ、なんだ。たまに顔あわせたときくらいもっと愛想よくできないのか?」
「昼寝を邪魔されて愛想よく笑えるやつはそういないだろう・・・」
「まぁ、確かにな・・・、しかしこんなところでサボってるとまた中尉に怒鳴られるぞ?」
「だろうな・・・・・・」
人事のように言うロイにヒューズは呆れてため息をつく。
「今日はのりが悪いな。いつもなら中尉と言うだけで飛んで仕事に戻るのによ」
「中尉の雷にもだいぶ慣れたよ。」
ロイは少し口角をあげて言う。
少し投げ遣りのように見えるロイに気づき、ヒューズは真顔で問う。
「何があったんだ?」
『何かあったのか?』ではなく『何があったんだ?』と聞く。
そんなさりげないやりとりが二人のつきあいの長さをあらわしている。
まぁ、本人たちにとってはなんら不思議ではないごく普通の会話なのだが・・・
ロイはその問いに答えない。
ヒューズははぁーとため息をはくとまた問いかける
「上からまた圧力でもかけられたか?」
その言葉にロイは一瞬ギョッとするが、ククッと笑って今度は言葉を返した。
「相変わらず鋭いな・・・」
「長いつきあいだからな・・・、っで?そんなに酷かったのか?お前が落ち込むなんて珍しいじゃねぇか・・・」
そう言いながらヒューズはストンとロイの横に腰をおろす。
「いや・・・いつもとかわらんよ。ただ最近多くてな・・・少し疲れただけだ」
「そうか・・・・・・でもお前がサボってて仕事に支障はないのか?ってのは愚問か・・・」
「ああ・・・中尉がいるからな・・・」
「むしろお前が居ないほうが捗るかもな・・・」
ニッと笑って軽く嫌味を言う。
「そうかもな」
「おいおい、ネガティブになるなよ。お前やんでないか?」
そう言ってはぁーっと本日何度目かのため息をはいた。
ロイは苦笑しながら空を見上げる。
それにつられたようにヒューズも上を見上げる。
枝と葉の間から青い空が見える。
その空は普段なんの邪魔もないところで見る真っ青な空より綺麗に見えるような気がしたロイ。
『ヒューズと見ているからだろうか?』
心の底にしまいこんであった思いがほんの少し顔をだした。
数年前に封じ込めたヒューズへの思い・・・
『まだこんな思い(もの)が私の中に残っていたとはな』とロイはヒューズに気づかれないように自嘲ぎみに笑った。
「なぁロイ・・・」
しばらくの沈黙を破ってヒューズが声をかけてくる。
「なんだ?」
「昔言ったよなぁ?お前の下で助力してやるって・・・・・・」
「ああっ・・・」
「覚えてたならいい。・・・俺はお前の下にいるからな・・・・」
ロイは静かに目を閉じて呟く・・・
「・・・・・・ありがとう・・・・・・・・・」
小声で発せられた言葉はヒューズの耳に届かない
だがその気持ちはきっと伝わっているのだろう。
その証拠にヒューズとロイの口元には笑みが浮かんでいる。
「・・・・・・お前もはやく嫁さんもらえよ。俺のような美人な嫁さんをな・・・癒されるぞ。仕事の疲れも吹っ飛ぶ」
「ほっといてくれ、そしてついでにのろけるな。」
「ついでじゃないぞ!!後者が本題だ。」
「お前の妻自慢は聞き飽きたと言っているんだ。」
「え?もっと聞きたいって?しょうがねぇな〜」
「やかましい!!人の話を聞かないか!!!」
ロイは今だからこそ穏やかな気持ちで自慢が聞けるのだ。
ヒューズが結婚すると知ったときはさすがに素直におめでとうと言えなかった。
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