☆ロイ受☆

□§heal§
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「殲滅せよ!!」






下された命令は我々狗に「鬼となれ」という命だった






耳に残るは破壊音






目に映るは残骸







建物 自然






そして






人・・・・・






そこにあるモノは全て消された






記憶にある残像は






憎しみ 怨み 苦しみ 淀んだ目・・・・・






救いを求めて伸ばされた血に汚れた手・・・・・










いや・・・・・






それらはむしろ美しかったか・・・・・・






淀んでいるのは






自分の目・・・・・・






永遠に拭い去ることのできぬ血に染まって汚れているのは






自分の手・・・・・






いっそ切り落とせたらいいものを・・・・・















「おいロイ!!ロイ!!!」

ロイは遠くで聞こえる男の声にゆっくりと瞼をあげる。
そこには久々に見る親友の顔がぼんやりと見える。

「・・・・・・・ヒューズ・・・・・」

自信なさげにその親友の名を呟くロイ。
そんなロイを見てヒューズは呆れ果てた。

「お前なぁ・・・・・人の家の前で死んでくれるなよ?迷惑だから・・・・・」

ヒューズはロイを立ち上がらせようと手を差し出す。
しばらくその手を見つめていたロイだったが、脳にかかった霞が取れはじめると、その手の意味をようやっと理解し、素直に左手をヒューズに預ける。
ヒューズはロイの手を勢いよく引き、ロイを立ち上がらせた。
あまりにもすんなり立ち上がれたため、相変わらずの馬鹿力だなとロイは少々感心する。

「・・・・・すまない・・・どうやら眠ってしまったようだな・・・・・」

「あぁ、そりゃもうぐっすりとな・・・・・今日、帰ったんだろ?疲れてるんなら大人しく家で寝てろよ。」

「・・・・・無事生きて帰ったんだ。高い飯でも奢らせてやろうと思ってな・・・・・」

軽い冗談を言うロイだったが、疲れきって蒼白の顔にそれは不似合いだった。

「残念ながら俺ぁ今日こんな時間まで残業だったんでな・・・もう開いてる店なんざねぇよ」

そう言ってヒューズは肩を竦めた。
ロイが銀時計をあけて、時間を見るともう十二時近かった。

「・・・・・まだ十二時か・・・・・」

「はぁ?まだ?もうの間違いじゃないのか?」

ヒューズが家の鍵を開けながら問う。

「・・・いや・・・・・一時間くらいしか寝てなかったのかと思ってな・・・・・」

「ってことはお前11時頃に来たわけか?その時間でも店は閉まってると思うがなぁ」

ヒューズは呆れながらもロイを自分の部屋へと入れる。
っというよりロイが我が物顔で、まるであたりまえと言わんばかりにヒューズの家へと入
っていったのだ。
ヒューズは全くそれを気にした様子はない。
2人にとってはもうそれがごく自然のことだった。

「・・・・・何か飲むか?たいした酒はねぇーが・・・・」

「いや、酒はいい水をくれないか?」

「はいよ。」

そう言ってヒューズは台所へと消えて行った。
ロイはドスンと部屋のソファーに腰を下ろすと、自分の重みを全てソファーに預ける。
力のないその姿はなんとも情けないものだった。
ヒューズは持ってきたコップ一杯の水をロイの額にくっつける。

「・・・ま〜た寝てるのか?」

ロイは額の冷たい感覚にゆっくりと目を開ける。
ロイがコップを受け取ると、ヒューズはロイと向かい合う形で座った。
そして、じーっとロイの顔を見つめる。
少しコップに口をつけたロイだったが、そのあからさまな視線のせいでどうも飲みにくい
らしくテーブルの上にコップを置いた。

「・・・何だ?」

「いや〜、情けねぇ面してやがるなぁっと思ってよ」

言いながらヒューズはロイの頬に手を伸ばすとペチペチと軽く叩く。

「・・・うるさい・・・・・」

ロイはすぐその手を払いのけた。

「・・・・・ロイ・・・・・部屋の中では発火布はずしとけよ。」

「いや・・・・・・・・・・お前をいつでも消し炭にできるようにつけておく」

「怖いねぇ・・・って何で俺が消し炭にされなきゃいけねぇーわけ?」

「いつもいつもお前は癇に障る一言が多いからな」
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