Dream-ソノタ
□一緒にお寝んね!
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雲雀家の屋敷は広い。
和風に統一された造りの屋敷だけじゃなく、庭もまた広く鹿威しが鳴り響いても近所迷惑にはならない。
…むしろ、近所の敷地も雲雀家の物のため近くに住宅は存在しない。
それに加え地下もあるのだから、その広さは尋常じゃない。
何故一般家庭に地下なんて施設があるのかと言うと、父親の言う『男のロマン』やら何やらで生まれたのだが、それはさて置き……
「うー…っ」
現在、二人しか住人がいない広大な敷地だけじゃなく、周りに住宅もないのだから夜の静けさと言ったら不気味だ。
それに加え、夜の和風の屋敷と言えば雰囲気的にアレが出るイメージがある。
おトイレ…と夜中に目が覚めた恭弥は廊下で立ち尽くした。
「っ……こ、わいよぉ…」
トイレまでは良かった。
行く事だけに集中しており周りを見ていなかったので平気だったのだが、帰りにフッと周りを見て固まった。
真っ暗で、何もない。
ウルウル、と目を潤ませて顔を歪めた。
「ふぇ…っ」
真っ暗で何も見えない廊下の先から、今にもオバケが出て来そうで。
こわい……っ
だれか、だれか…っ!
「ねーね……っ!」
とっさに呼んだのは、母ではなく姉。
ギュゥッと目を閉じて誰か、と助けを求めた声に、
「何?」
応えた声に恭弥はパッと顔を上げた。
「…ねーね?」
大きな目を、もっと大きくして、目の前で欠伸を噛み殺す姉を見つめた。
目の前に、いる。
助けを求めた自分に応えて、姉が!
「何やってるの?トイレ行ったなら部屋に戻って早く、」
「ねーねっ!」
早く寝なよ、と言い切る前に恭弥が姉にギュゥゥッと抱き付いた。
腰にキツく抱き付く恭弥に、姉は目を見張った。
グズグズと泣くのを堪える声や揺れる肩に泣いているのが容易に理解出来る。
「…何かあったの?」
「……お、ばけがね、おそってくるの…っ」
「………そう」
用は暗い廊下が怖かったのだろう、と予想して少女は小さく息を吐いてポンポンと恭弥の頭を撫でた。